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平成19年 相続税の納付税額は1兆2,661億円
  〜「第133回 国税庁統計年報 平成19年度版」より〜
●  平成19年の相続税の納付税額は、過去6年間で2番目の水準
  国税庁が例年発表する「統計年報」の平成19年度版によると、平成19年中の相続税納付税額は1兆2,661億円、過去6年間では平成14年中の実績(1兆2,863億円)に次いで2番目の水準となっている。前年度実績に比べ約400億円増加、平成16年分以降は毎年増加が続いている。
  一方、相続税の納付対象となった相続としては、対象の被相続人数が46,820人、こちらも平成16年分以降は増加傾向となっているが、概ね4万5,000人前後で安定して推移しており、相続税の納付を伴う相続の発生率(対象の披相続人数を同年の死亡数で除して算出)は最近では4%程度となっている。
  被相続人一人当たりの納付税額は、単純平均で2,700万円程度である。課税価格帯の分布をみると、1億円超から2億円以下の階級が被相続人ベースで約22,000人、全体の47.8%(小数第2位以下四捨五入、以下同)と飛び抜けて多い。
●  種別では依然として不動産が高い占率
  相続財産の種類別内訳をみると、やはり不動産の構成比率が高く(53.0%)、そのほとんどが土地(占率が47.8%)となっている。一方、金融資産の比率は36.3%、うち現金・預貯金が20.5%、有価証券が15.8%の構成比率で、相続財産全体の構成に大きな変動はなく一定した傾向が見られる。土地をはじめとする不動産の相続が多いため、現金による一括納税が原則である相続税納税の資金対策が重要であることに変わりはなく、遺産分割の場面においても、不動産は分割困難な財産のため、円満な解決を実現できるように対策を行うことも引続き重要な取組みとなっている。
●  今後の相続税制度の行方
  平成20年度の与党税制改正大綱では、今年度からスタートした事業承継税制の予告とともに、法人税の計算方法の「遺産取得課税方式」への改正を検討することが明記されていた。しかしその後の具体的な動きは見られず、今年度の税制改正でも相続税制度の改正については触れられなかった。
  先般の政権交代によって、相続税制の方向性が混沌となってきている。政権政党となった民主党は相続税制度としては以前から「遺産課税方式」を提唱している。つまり、相続が発生した段階で、遺産全体に対して課税を行う方法で、現行の課税方式や遺産取得課税方式の納税義務者は相続人側であるのに対して、遺産課税方式の場合は被相続人側(ただし、実際には遺言執行者などが納税義務者となる)に変わることとなる。
  また、単に納税義務者が変わるだけでなく、相続税の計算上で設けられたさまざまな制度や特例、例えば基礎控除や配偶者の税額軽減の特例の取扱い、延納の制度などにも大きく影響することも予想され、そうなると、これまでの相続対策に代わる新たな対策の検討も必要となってくる。
  現時点では、相続税制に関する具体的な議論は行われてはいないようだが、所得税制の改正など税制全体に関する議論において相続税制についても取り上げられる可能性は非常に高いため、今後の動きには十分に注目していく必要がある。
参考資料:国税庁統計年報(2.直接税−相続税)
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/sozoku2007/sozoku.htm
2009.11.30
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