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リーマンショック後、うつ傾向の社員が増加
●  不況とメンタル不調には、相関関係がある
  企業や個人向けにカウンセリングサービスなどを提供する株式会社ピースマインドの調査・研究組織であるピースマインド総合研究所の調査により、リーマンショック後の不況の影響で、うつ傾向の社員が増加していることが明らかになった。
  同研究所は、6,964 件のカウンセリングデータを基に、利用者の相談内容について調査・分析し、その傾向をまとめている。リーマンショックを境としての前後1年間を比較することで傾向の相違についても細かく把握できているのが特徴である。調査結果によると、利用者のうちうつ傾向の人は、リーマンショック時の2008年10月から2009年3月の間に、47%から60%にまで増加しており、不況の影響を受けていると判断してよいだろう。
●  リーマンショック後、40代の利用者が大きく増加
  深刻な経済不況により、企業はコスト削減やリストラといった厳しい景気対策を余儀なくされている。これらの急激な変化は、職場環境にもさまざまなひずみを引き起こし、働く人々のメンタルヘルスにも大きく影を落としていると思われる。
  実際にリストラ後に部署の人員が削減され、以前よりも仕事量が増え、なんとかこなさなければならないような状況になっている部門もあるようだ。そのような状況下では仕事のストレスと同時に将来に対しての不安も広がってきて、メンタル面に影響を与えるのかもしれない。
  今回の調査結果でも、働き盛りの40代の利用者が、リーマンショック時の2008年10月から2009年3月の間に、28%から37%へと大きく増加している。従来、ピースマインドのカウンセリング利用者は30代の占める割合が最も大きかったが、ある時期において40代の人が最大利用層となっているのは、明らかな変化が生じていると考えてよいだろう。
●  リーマンショック後に、「仕事の質」に悩む利用者が増加
  カウンセリングの内容については、1位「家族関係」、2位「自己理解」、3位「職場の対人関係」、4位「休職復職関係」と、リーマンショック前と後では、上位の順位に変わりはなかったが、リーマンショック前に12位だった「仕事の質」が、リーマンショック後に5位に上昇したことは注目のポイントといえるだろう。また「職場外の対人関係」は、6位から11位に大きく後退しており、不況により悩みの質も変わるということを表しているといえる。
  これらの調査結果から株式会社ピースマインドは、「景気の低迷は、経済的不安や業務変化などにより、ビジネスパーソンのうつ傾向をまねき、特に企業経営や家庭の経済的基盤を支える40代ビジネスパーソンのメンタリティーに大きく影響する。また、うつ傾向の利用者数は日経平均株価の下降と共に増加し、そのピークが株価底値の時期と一致するなど、年間推移においても連動性がみられ、何らかの相関関係を示すものとして注目できる」とまとめており、今後の研究に期待したいところである。
参考:ピースマインド総合研究所 調査結果
http://www.peacemind.co.jp/pdf/news/091030.pdf
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2009.11.30
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