>  今週のトピックス >  No.1950
租税特別措置法は4年間で抜本的に見直し
●  租特PTが租特透明化法案の骨子案を税調で報告
  政府税制調査会の租特PT(租税特別措置及び非課税等特別措置の見直しのための論点整理に関するプロジェクトチーム)は11月17日、「租特透明化法案(仮称)」の骨子案を税調で報告した。鳩山首相からの、租税特別措置をいったん全廃し、ゼロベースから見直すための具体的方策の策定の指示を受け、重ねてきた議論の成果をまとめたもので、これを基礎として法律案を早急に検討し、次期通常国会への提出・成立を目指す。
  骨子案によると、法人税申告書を提出する法人であって租税特別措置の適用を受ける法人に対しては、適用を受ける特別措置の内容、適用額(税額控除額、特別償却限度額、準備金や積立金の額等)等を記載した「適用額明細書」の申告書への添付を義務付ける。平成23年4月1日以後終了する事業年度の納税申告書から適用する。不提出や虚偽記載をした場合は、法人税関係特別措置を適用しない。
●  見直しの対象は政策税制措置、国税241項目、地方税286項目
  この適用額明細書を集計し、特別措置ごとの適用法人数、適用総額等の実態を調査することにより、租税特別措置の適用実態を透明化し、適正な見直しを促進するのが、法律の目的。地方税法関係特別措置についても、既存の統計資料(固定資産の価格等の概要調書など)を活用することによって、適用実態を把握し、地方法人二税(法人住民税・法人事業税)については、法人税の適用実態調査の結果等に基づき、影響額を推計する。
  特別措置の見直しは、租税特別措置法に規定された措置や特例等のうち、産業政策等の特定の政策目的により税負担の軽減等を行う措置(「政策税制措置」)に該当するものを対象とする。政策税制措置に該当するもの(現時点で国税241項目、地方税286項目)のすべてについて、今後4年間で抜本的に見直す。各年の見直しの対象は、その年度末までに期限が到来する措置に、期限の定めがない措置を随時加えたものとする。
●  期限の定めのある措置は期限到来時に廃止
  特別措置の見直しの基本方針は、既存の政策税制措置のうち、期限の定めのある措置については期限到来時に廃止(サンセット)する。ただし、「指針」に照らして合理性や有効性、相当性のすべてが認められる措置に限り、その内容の厳格な絞込みを前提に、原則3年以下の期限を付しての存続を検討する。
  また、「指針」に照らして厳格な見直しを行った結果、実質的に同じ内容の措置を20年を超えて存続させることとなる場合には、原則として、期限の定めのない措置とすることを検討する。さらに、期限の定めのない措置のうち、もはや適用状況や政策評価等を踏まえた必要性を判断する必要がなく、かつ、課税の公平の原則を逸脱するものではないと明確に認められるものについては、本則化の適否を検討する。
●  政策税制措置の見直しの指針(「6つのテスト」)
  政策税制措置の見直しの指針(「6つのテスト」)は、
(1)法律に規定されるなど、所管官庁の政策体系のなかで優先度や緊要性の高いものとして明確に位置づけられているか
(2)当初の政策目標がすでに達成されていないか
(3)適用数が想定外に僅少であったり、想定外に特定の者に偏っていないか
(4)政策評価法に基づく所管官庁の事後評価等において、税収減を是認するような有効性(費用対効果)が客観的に確認されているか
さらに、
(5)同様の政策目的に係る他の支援措置や義務付け等がある場合に、適切かつ明確に役割分担がなされているか
(6)適用実態などからみて、その政策目的を達成するための政策手段として的確であり、かつ、課税の公平原則に照らし、国民の納得できる必要最小限の特例措置となっているか
といったその特別措置の「合理性」「有効性」「相当性」を検証する計6つのテストが示さ れている。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2009.11.30
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