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「外国人指針」と事業主の責任
●  「外国人指針」とは
  厳しい景気後退による受注減少のなか、人員削減等の雇用調整を迫られている企業が多く見受けられます。このような状況下において、あらためて従業員の雇用管理の重要性を感じている経営者の方も多いと思われます。とりわけ、日系人等の外国人労働者の雇用管理については、日本人以上の配慮が必要です。
  ご存じですか? 事業主には、法律で外国人労働者の雇用管理についての責務が定められています。これに適切に対処するため定められたものが「外国人指針」です。
  事業主には、この「外国人指針」に基づいた外国人労働者の雇用管理が求められています。指針に基づいた雇用管理とは、どのようなことでしょう。以下、事業主の方に留意していただきたい点を挙げていきます。
●  解雇の防止、再就職支援への取り組み
  日本人同様、外国人労働者においても、労働基準法をはじめとする労働関係法令の遵守は必須です。併せて、言語の習熟度に配慮した個別の支援が求められます。
  具体的には、以下に留意してください。
事業所規模を縮小・廃止するときでも、外国人労働者を安易に解雇することはできません。また、労働者の国籍を理由とする解雇は禁止されています。
派遣契約・請負契約を中途解除されても、労働契約は継続します。このような場合でも、事業主には労働者への賃金支払い義務が生じます。もちろん、労働者の国籍を理由とする派遣契約の解除は禁止されています。
やむを得ず解雇等を行う場合、再就職を希望する者については関連企業へのあっせん、求人情報の提供など、外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるような援助に努めることが求められます。
●  外国人にも適用…労働・社会保険加入
  セーフティーネットである労働・社会保険は、外国人労働者にも適用されます。労働・社会保険への加入は事業主の義務です。
  この他、外国人労働者へのおもな援助は以下のとおりです。
労働・社会保険の内容や給付の手続き等を周知する。
離職票の交付等必要な手続きを行うとともに、失業等給付受給のためハローワークを 案内する。
厚生年金保険への加入期間が6カ月以上の外国人労働者が帰国する場合には、脱退一時金の支給を請求できます。社会保険事務所等の窓口を案内します。
●  お問い合わせは
  詳細については、最寄りの都道府県労働局、ハローワーク、外国人雇用サービスセンターへお問い合わせください。
東京外国人雇用サービスセンター URL: http://www.tfemploy.go.jp
(野上 幸彦 特定社会保険労務士、野上社会保険労務士事務所 所長)
2009.12.07
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