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不況対策? 2010年度から賃貸住宅入居者保護政策始まる
●  賃貸住宅入居者の保護策強化へ
  日本ではこれまで、住宅ローン控除による所得税減税、不動産取得税の軽減など、持ち家取得者を優遇する政策を打ち出してきた。しかし、民主党政権のマニフェスト(賃貸住宅の整備)の実現、不況の影響やライフスタイルの多様化などにより家を購入しない人が増えていることへの対策として、賃貸住宅の利用を促す制度が整備されることになった。新聞報道によれば、下記のような賃貸住宅入居者保護策が行われる見込みだ。

<賃貸住宅の入居者の主な保護策>
  【入居前】
   ・不動産仲介会社で修繕履歴を確認
   ・退去時の原状回復の指針を明確化し、敷金返還を巡るトラブルを防止
   ・家賃・敷金以外の礼金や更新料などについて契約書できちんと説明
  【家賃の支払いが滞った場合】
   ・悪質な家賃保証会社の追い出し行為をなくすため、許可制導入を検討
  【紛争が発生した場合】
   ・紛争処理を安い費用で可能に
●  家賃保証会社とは
  前述の保護策の中で注目したいのが、家賃保証会社の許可制導入だ。
  家賃保証会社とは、賃貸物件の借り手が家賃を滞納したときに、借り手に代わって不動産会社やオーナーに家賃を支払い、その後借り手に立て替え分の取り立てを行う会社である。賃貸物件を借りるときには、家賃の滞納時に備えて連帯保証人を立てるのが一般的であるが、連帯保証人を頼める親族や知人がいないときに、家賃保証会社に保証を依頼する。しかし最近では、連帯保証人がいても、家賃取立てなどの手続きまで代行してくれる家賃保証会社の保証を付けるのが一般的になりつつある。
  トラブルに発展しがちなのは、一部の家賃保証会社の強引な手法だ。家賃滞納者の留守中に鍵を変えてしまう、許可を得ないで勝手に家財を持ち出してしまうなど、入居者の生活が脅かされるような方法が取られることがある。
  不正行為をチェックし、問題があれば登録を取り消すことができるよう、業者の許可制の導入を検討しており、早ければ来年度にも実現される予定だ。

  退去時の原状回復については、国土交通省から「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」が発行されていて、「原状回復は借主負担、経年変化や通常の使用による損耗等の復旧は貸主負担」という大枠の合意事項ができあがっている。とはいえ、細かな点ではやはり争いやトラブルになりがちだ。東京都では「東京ルール」と呼ばれる独自のガイドライン(東京都都市整備局発行の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」)を定めており、一定の効果を収めている。こういった細かなルール決めを、国の政策としても進めていくということになるのだろう。
  加えて、万一トラブルが起きたときに備えて、安価で利用できる紛争処理の場も増やしていく方針だ。
参考:2009年11月23日付 日本経済新聞
(山田静江 CFP®)
2009.12.07
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