>  今週のトピックス >  No.1954
世帯年収の高い家庭ほど子どもは高学力
  文部科学省の「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議」は、世帯年収の高い家庭ほど子どもは高学力であるという調査結果を公表した。この調査は、平成20年度の全国学力・学習状況調査の追加分析として、5政令都市の100 校(児童数21 名以上の公立小学校を無作為に1市あたり20 校抽出)の6年生8,093人の保護者への質問紙調査から得られたデータ(有効数5,847)をもとに、家庭環境と子どもの学力の関係について分析している。
●  家庭背景(世帯年収、学校外支出など)と子どもの学力の関係
  調査結果によると、年収が高い世帯の子どもほど概ね正答率は高く、年収1,200万から1,500万円の世帯では国語、算数とも正答率が平均より約8〜10ポイント高く、年収200万円未満は逆に10ポイント以上低かった。また、年収200 万円未満の世帯と1,200万円から1,500万円の世帯を比較すると正答率は約20 ポイントの差がある。算数Bは、所得の高低による差が最も大きく、年収200万円未満が42.6%、年収1,200万円から1,500万円が65.9%と、23.3ポイントの差となっている。
<世帯年収と子どもの学力>
世帯年収 正答率(%)
国語A 国語B 算数A 算数B
200万円未満 56.5 43.2 62.9 42.6
200万円以上〜300万円未満 59.9 44.2 66.4 45.7
300万円以上〜400万円未満 62.8 47.3 67.7 47.6
400万円以上〜500万円未満 64.7 50.9 70.6 51.2
500万円以上〜600万円未満 65.2 51.6 70.8 51.2
600万円以上〜700万円未満 69.3 55.1 74.8 55.5
700万円以上〜800万円未満 71.3 57.6 76.6 57.1
800万円以上〜900万円未満 73.4 59.6 78.3 60.5
900万円以上〜1,000万円未満 72.8 58.4 79.1 59.7
1,000万円以上〜1,200万円未満 75.6 62.5 81.2 62.8
1,200万円以上〜1,500万円未満 78.7 64.9 82.8 65.9
1,500万円以上 77.3 64.3 82.5 65.6
合計 69.4 55.5 74.8 55.8
●  学校外教育支出の多い家庭ほど子どもの学力は高い
  学校外教育支出と子どもの学力との関係をみると、学校外教育支出が多い世帯ほど正答率が高いことがわかる。「支出が全くない」場合の正答率は、国語A が58.9%、国語B が45.6%、算数A が64.9%、算数B が44.4%、「月に5 万円以上」の場合の正答率は国語A が83.9%、国語B が70.3%、算数A が87.6%、算数B が71.2となっており、「支出が全くない」と「月に5 万円以上」の正答率の差は、国語Aで25.0ポイント、国語Bで24.7ポイント、算数Aで22.7ポイント、算数Bで26.8ポイントとなっている。世帯年収と同様、ここでも算数B において差が最も大きい。
  もちろん、学校外教育支出は家庭の経済力と強い関係がある。世帯年収が高くなるにつれ学校外教育支出も増える傾向があり、世帯年収200万円未満の約半数の世帯が学校外教育支出「月に5,000円未満」であるのに対し、世帯年収1,500万円以上の約半数の世帯が学校外教育支出「月に3万円以上」となっている。世帯年収が高いほど子どもの教育により多くの金額を投資する余裕があるため、このような関係が生じていると思われる。
参考:文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する
専門家検討会議 配布資料」より
2009.12.07
前のページにもどる
ページトップへ