>  今週のトピックス >  No.1955
子育ては大変ですか?
  去る11月、厚生労働省より「第7回 21世紀出生児縦断調査結果の概要」が発表された。この調査は、少子化対策等厚生労働行政施策の企画立案、実施のための基礎資料を得ることを目的として、2001年に生まれた子ども(今回の調査では、対象の子どもが7歳の時点)の実態および経年変化の状況を継続的に観察しているものだが、内容は非常に興味深い。
●  子どもの成長につれ、母親は働くようになるか?
  子どもが育っていくにつれ、働きに出る女性は多いものだが、今回の調査にもそれが結果として出ている。子どもを産む1年前に職業を持っている「有職」の女性は全体の5割以上(54.5%)であったが、出産半年後でそれは全体の約4分の1(25.1%)へと減少する。しかし、出産からの時間が経過するにつれ、働きに出る女性の割合は増加し、今回の調査では出産1年前の有職の割合を超える(55.8%)まで上昇している。その中でも、調査対象の子どもが末子である母親の就業割合は63.6%と、3分の2近い女性が出産7年経過後には仕事に就いているという結果になっている。
  しかしその内訳は、出産1年前に「常勤」であった母親が、今回調査まで常勤を続けている割合は28.6%にすぎず、出産退社を機に非常勤雇用へと流れる女性就業者の姿を見ることができる。
●  おじいちゃん、おばあちゃんは協力的か?
  子育てに祖父母の協力はありがたいものだが、その関わり方を見てみると、「常勤」の母では「子育てに大いに協力してもらっている」が約6割(59.9%)、「ときどき協力してもらう」が約3割(29・8%)となっている。
  これが、「パート・アルバイト」の母では「子育てに大いに協力してもらっている」が4割弱(36.2%)、「ときどき協力してもらう」が5割弱(47.9%)となり、常勤雇用の母親のおじいちゃん、おばあちゃんの方が子育てへの協力度合いが高いことがわかる。
  おじいちゃん、おばあちゃんの協力の内訳であるが、「子どもの世話(食事、お風呂、遊びなど)をしてくれる」(86.9%)、「子どもが病気のとき看てくれる」(77.2%)、「親の用事などで一時的に預けたいときに見てくれる」(74.1%)、「親の病気などのときに見てくれる」(52.4%)などが多くなっている(「常勤」の母で、「子育てに大いに協力してもらっている」場合)。
●  子どもは放課後どこで過ごしている?
  子どもが放課後に過ごす場所についても調査を行っており、都市部(18大都市)と郡部で少々回答が異なるが、都市部で母が「常勤」の子の場合、「学童保育」が73.3%と最も多く、次いで「自宅」36.8%、「習い事、スポーツクラブ、学習塾等」20.6%の順となっている。
  母が「パート・アルバイト」の子の場合には、「自宅」が69.2%と最も多く、次いで「戸外(公園等)」43.5%、「学童保育」42.6%の順となる。
●  子育て中の親の悩みは?
  子どもを育てていて負担に思うことや悩み(複数回答)をみると、「子育ての出費がかさむ」が最も多く、ついで「自分の自由な時間が持てない」「子どもと過ごす時間が十分に作れない」などが続く。
<子どもを育てていて負担に思うことや悩み>                    (単位:%)
  第1位 第2位 第3位
一人っ子 子育ての出費がかさむ 29.5 自分の自由な時間が持てない 25.5 子どもと過ごす時間が十分に作れない 24.5
兄姉あり 子育ての出費がかさむ 37.0 子どもと過ごす時間が十分に作れない 22.6 自分の自由な時間が持てない 19.4
【弟・妹なしの場合(上位3項目)】
  子育ての悩みは古今東西つきものではあるが、少子高齢化に悩むわが国においては人口減少(=経済衰退)へとつながる重要な問題でもあり、放置しておくことはできない。
  財源の問題はさておき、民主党政権において子育て世代への支援が予定されている。「時間とお金」の両方が足りない現状を解決する万能薬はあるはずもないが、経済的な問題だけでも解決できるのであれば、かなりの有効打になるかもしれない。
  少子化対策は子どもを育てている世代だけの問題ではなく、国を挙げて取り組む大きな課題でもある。子育てを終えた方や、予定がない方にとっても応分の負担が求められる方向にかじが取られそうでもあり、政治に関心が薄かった人々にとっても、今後の政権運営に注目せざるを得ないだろう。
参考:「第7回 21世紀出生児縦断調査結果の概況」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/07/index.html
2009.12.14
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