>  今週のトピックス >  No.1959
従業員の募集・採用:「年齢制限禁止」について
●  「年齢制限禁止」の背景
  7月と12月を賞与の支給時期とする企業が多くあります。賞与が支給された後は、転職等を考えている従業員にとって、退職の意思表示をする絶好のタイミングのひとつです。実際、賞与支給後1カ月くらいの時期に、退職願を提出するケースも多く見受けられます。事業主や企業の採用担当の方にとって、優秀な人材を失った後の戦力低下は非常に頭の痛いところです。新たな人材確保へ向け、ハローワークでの求人等早急な対応が必要となります。自社の状況に適した人材を獲得するには、募集・採用の内容が非常に重要であるため、その内容作成に苦労された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
  平成19年10月に改正雇用対策法が施行され、従業員の募集・採用にあたっての年齢制限を設けることができなくなりました。
  募集・採用にかかわる年齢制限の緩和については、これまで企業の努力義務とされてきました。しかし、年齢制限を行う求人数が多く、高年齢者や年長フリーター等の応募の機会が閉ざされている状況にありました。この改正の背景には、このような状況を改善し労働者おのおのに均等な働く機会を与えるという目的があります。
●  改正雇用対策法…主な改正点
  主な改正内容は次のとおりです。
 1.原則として「年齢不問」とする。
 2.正社員、アルバイト、パート、派遣など雇用形態を問わず適用する。
 3.この年齢制限の禁止は、ハローワークを利用しての求人をはじめ、民間の職業紹介会社、広告媒体を通じて募集・採用する場合、企業が自社のホームページなどで直接募集・採用する場合を含めて適用する。
  例外的に年齢制限を行うことが認められる場合には、厚生労働省令(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)で定められている「例外事由」に該当する必要があります。

  改正の効果として、年齢以外の部分、すなわち職務の内容・求められるスキル・経験などをできるだけ具体的に明示するようになったことが挙げられます。これにより、応募者も募集の詳細内容を応募の前に把握することが可能となり、求人と求職のミスマッチ解消につながっています。詳細については最寄りのハローワークまでお問い合わせください。
(野上 幸彦 特定社会保険労務士、野上社会保険労務士事務所 所長)
2009.12.21
前のページにもどる
ページトップへ