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経済指標を活用しよう
  2008年後半からの世界的な経済危機の中で日本経済は株安、円高、そしてデフレ宣言と、他の国々よりも深刻なダメージを負った1年であった、との見方があります。果たして新たな年の、日本の経済状況はどうなるのか? 8月の総選挙を受け誕生した新政権には、日本を元気にする戦略を求めたいところです。そこで今回は、経済の現状や先行きを把握するための代表的な経済指標活用の基本を整理してみます。
●  経済指標の3大指数
  景気の現状や先行きを見るのに利用されるのが、内閣府から発表される「景気動向指数」。景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があり、CIは景気変動の大きさや量感を、DIは各経済部門への景気の波及度を表しています(近年はCIを中心に公表)。
  またCI・DIにはそれぞれ、景気動向に先行する先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の3つの指数があります。景気の現状把握には一致指数が利用され、先行指数は一致指数より数カ月先行するため、景気の先行き予測に利用されます。また、遅行指数は文字通り一致指数よりも数カ月から半年遅れで動くため、事後確認として利用されています。一般的に一致CIが上昇しているときは景気の上昇局面、低下しているときは下降局面であるといわれています。
●  指数は景気の上昇局面だが
  では、これらの指数を具体的に見てみましょう。内閣府が2009年12月に発表した同年10月の景気動向指数によると、景気の現状を表す一致指数は94.3で、9月の93.2から1.1ポイント上昇し7カ月連続して前月を上回りました。また、景気の先行きを予測する先行指数は89.4で、9月の87.5から1.9ポイント上昇し8カ月連続の上昇と、指数だけを見れば景気は上向いていると解釈でき、実際に内閣府の景気基調判断も上方修正されています。
●  街角の人たちの景況感は下降
  さらに、もうひとつの代表的な先行指標である「景気ウォッチャー調査」で景気の現状・先行判断DIを見てみましょう。景気ウォッチャー調査は、内閣府が街角の景況感を調べるために毎月実施している調査で、景気の動向をより早く把握するためスーパー・コンビニの店長、飲食店の経営者、タクシー運転手など、地域の景気に関連深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て、地域ごとの景気動向判断の基礎資料とすることを目的としています。DIの算出方法は、景気の現状・先行きに対して「良くなる」から「悪くなる」まで5段階の点数を与え、各回答区分の構成比(%)に乗じてDIを算出しています。
  実際に12月に発表された11月の景気ウォッチャー調査を見ると、景気の現状を判断する指数(「50」が横ばい)は33.9と前月より7.0ポイントの減少。また、景気の先行きを判断する指数も34.5と、前月を8.3 ポイント下回る結果になっています。
  このように、複数の経済指標を総合して算出した景気動向指数と、景気ウォッチャー調査に表れる街角の人たちが実際に感じる指数の方向性には違いが見られ、新たな年の日本経済は、まだまだ気の抜けない状況が続きそうです。
  今回取り上げたのは、経済指標のごく一部。日ごろ忙しいビジネスパーソンも、新たな年のスタートに、これらの指標を参考に今後の景気を予測してみてはいかがでしょうか。
参考:内閣府「景気動向指数 平成21年10月分」「景気ウォッチャー調査 平成21年11月調査結果」
2009.12.28
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