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還付申告、実務上のポイントと注意点
●  還付申告できる方
  新たな年を迎えると間もなく、個人の確定申告シーズンとなる。通常の確定申告は2月16日からであるが、それに先立って1月1日からは還付申告の受付が開始される。
  還付申告というのは、本来なら確定申告しなくてもよい方が、所得税の還付を受けるために行う確定申告のことを指す。具体的には次のような方が該当する。
   (1)年間の給与収入が2,000万円を超えたため、年末調整ができなかった方
   (2)医療費控除や住宅ローン控除、寄付金控除などの適用を受けられる方
   (3)年末調整で各種控除証明書の添付を失念した方
   (4)平成21年中に退職し、その後年末調整を受けていない方
  これらのケースで還付が発生する方々は、毎月の給与からの源泉徴収で課税がされているため、確定申告をしなくても問題ない。還付申告するかどうかは、あくまで本人次第である。
●  還付申告と更正の請求の違い
  還付申告の期限はその翌年の1月1日から5年間とされている。そのため必ずしも通常の確定申告のように3月15日までに申告する必要はないが、還付金をできるだけ早く受け取るためには、少しでも早く申告することをおすすめする。
  平成20年分以前についても、上記の5年間という期間の範囲内であれば、今からでも還付申告することが可能である。例えば、3年前の保険料控除申告書が出てきたとか、田舎の両親を対象に扶養控除が適用できたのに適用していなかった、といった場合である。
  このときに注意したいのは、還付申告の5年間の期限というのは、あくまで申告を全く行っていなかった場合の話である。何らかの理由で通常通りの確定申告を行った場合には、還付申告の5年間の期限は適用されない。この場合の還付手続は「更正の請求」によって行うことになるため、その期限は法定申告期限から1年以内となる。
  なお、いったん還付申告を行った場合でも、申告を行ってから1年以内であれば、さらに更正の請求を行うことも可能である。
●  年末調整のやり直し
  サラリーマンの場合には、自分でわざわざ還付申告をしなくても、年末調整のやり直しということで対応してもらえる場合もある。例えば、年末調整というのは厳密には12月31日時点での状況に基づいて行うものだが、事務手続の都合上、「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」は12月上旬などに提出するケースが多いだろう。その場合、書類提出後12月31日までに子どもが生まれたような場合には、扶養親族の追加が必要となる。
  このような場合には、年末調整のやり直しが可能である。法定調書合計表や給与支払報告書の提出期限が1月31日とされているため、それまでであればやり直しができる。
  もちろん自分で還付申告を行っても構わないが、会社で年末調整をやり直してもらえれば、申告する手間が省ける。その上、還付金も直接会社から受け取ることができるため、自分で申告するよりも早く還付金を手にすることができる。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2009.12.28
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