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2010年度税制改正は「控除から手当へ」
  昨年末に税制改正大綱が決定され、2010年度の税制改正の大枠が明らかになった。改革の基本的な考え方は次の5つ。
 (1)公平・透明・納得の3原則を基本とする。
 (2)支え合いのために必要な費用を分かち合う。
 (3)税制改革と社会保障制度改革を一体的にとらえ改革を推進。
 (4)グローバル化に対応できる税制のあり方を考える。
 (5)地域主権を確立するための税制構築。今後、国・地方間の税財源の配分を見直す。
  今の日本は、構造的な不況への対応策に加えて、少子化問題・社会保障制度改革・地方分権・国際化など課題が山積している。基本的な考え方は、あちこち配慮した結果であろうが、今回の改正における大きな見直しは、扶養控除の廃止や減額のみという印象だ。大幅な改革は来年度以降になるようだ。
●  扶養控除の廃止と減額
  扶養控除の見直しは、子ども手当および公立高校の学費無料化(私立高校通学者へは同等額を支給)と併せての改革となった。扶養控除など所得控除は、課税対象となる所得を減らすしくみなので、高額所得者ほどメリットがあるといわれてきた。例えば、38万円の所得控除によって減額となる所得税は、給与収入500万円(所得税率5%)の家庭では1万9,000円だが、給与収入1,000万円(所得税率20%)の家庭では7万6,000円にもなる。一方学費については、所得にかかわらず一律というのが一般的。だから、控除から手当へというのは、子どもの立場で見れば公平というわけだ。
  具体的には、子ども手当が支給される15歳以下に対する扶養控除は廃止され、学費無料化の対象となる16〜18歳の特定扶養控除は減額となる(図表参照)。
<図表:扶養控除および特定扶養控除の改正>
名称 対象年齢 改正前 改正後
扶養控除 15歳以下 38万円(33万円) 廃止
23〜69歳 38万円(33万円)
特定扶養控除 16〜18歳 63万円(45万円) 38万円(33万円)
19〜22歳 63万円(45万円)
※(  )内は、住民税の控除額
  今回の税制改正は、民主党政権が掲げていたマニュフェストに沿った改革の第1歩であり、当面はこの方向で進んでいくことになるだろう。財源問題など異論はあろうが、多くの国民が自ら選んだ結果である。関係者には、批判ではなく、今後の改正が実効性のあるものとなるような意見を出していただきたいと切に願う。
(山田静江 CFP®)
2010.01.12
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