>  今週のトピックス >  No.1974
住宅取得等資金贈与の非課税限度額を大幅引上げ
●  2010年中は1,500万円、2011年中は1,000万円
  2010年度税制改正大綱によると、資産課税関係の主な改正項目では、住宅取得等資金の贈与に係る非課税限度額の引上げがある。住宅取得等のための金銭贈与に係る贈与税の軽減措置は、昨年12月8日に閣議決定された緊急経済対策に盛り込まれた住宅投資促進措置で、直系尊属(父母、祖父母など)から受ける住宅取得や増改築のための金銭贈与については500万円まで贈与税を非課税とするものだ。適用期限を2011年12月31日までとする。
  国土交通省は、この非課税限度額500万円を2,000万円に引き上げるように要望していたが、政府税制調査会が難色を示し、(1)2010年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者は1,500万円、(2)2011年中は1,000万円に引き上げることで決着。適用対象者は、金持ち優遇との批判に配慮し合計所得金額が2,000万円以下の者に限定する。
  一方で、住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止する。
●  直系尊属の範囲に注意
  非課税限度額の大幅な引上げは住宅を取得したい人には朗報だが、注意したいのは「直系尊属」の範囲である。
  住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる住宅取得等資金の贈与者については、住宅取得等資金の贈与を受けた人(「特定受贈者」)の親や祖父母、曽父母など直系尊属に限られる。この場合の贈与者である直系尊属とは、税法では民法の考え方に即して判断しており、特定受贈者の養親やその養親の直系尊属も含まれるが、次の贈与者は直系尊属に含まれないことに留意したい。それは、
(1)特定受贈者の配偶者の直系尊属
(2)特定受贈者の父母が養子の縁組による養子となっている場合において、その特定受贈者がその養子の縁組前に出生した子である場合のその父母の養親及びその養親の直系尊属
(3)特定受贈者が民法(特別養子縁組の成立)に規定する特別養子縁組による養子である場合のその実方の父母及び直系尊属
である。
  つまり、一般的な例でいえば、夫であれば妻の父母や祖父母からの贈与は非課税とはならないということになる。また、夫の養親やその養親からの贈与は非課税の対象となるのだが、ここで注意したいのは、養親やその養親の直系尊属から住宅取得等資金を贈与により取得した場合でも、その贈与のときにまだ養子縁組が成立していないときは、当然ながら贈与税の非課税の規定の適用はないことである。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.01.18
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