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団信保険料率アップで民間保険が有利に
  団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた人が加入する生命保険である。その人が死亡・高度障害状態となった場合には、その生命保険の保険金によって住宅ローンの残債務が弁済され、住宅ローンが残らないかたちで遺族にマイホームを残せるというものだ。
  昨年4月に、住宅金融支援機構の団体信用生命保険(機構団信)の保険料が引き上げになったことをご存じだろうか。借入金額1,000万円(元利均等返済)当たりの1年目保険料で見ると、改定前が年28,100円だったものが、改定後は35,800円と、3割近くアップした。
  機構団信には、フラット35の融資を受ける人やその他機構等の融資を受ける人で、満15歳以上満70歳未満の人が加入できる。もちろん、一般の生命保険のように告知書により健康状態の確認(地域幹事生命保険会社の加入承諾)が必要だ。
●  団信の保険料は「借入残高×料率」で計算
  団体信用生命保険の保険料は、一般の生命保険のように加入時に保険料がそのまま継続するのではなく、借入金額が減ると保険料も安くなる仕組みだ。そのため、年数の経過とともに、保険料も年々安くなっていく。繰上返済して残高が減った場合にも、その後の保険料は安くなる。
<ローン借入金額2,450万円 借入期間30年、借入金利2.75%の場合の年間保険料推移>
1 87,700 6 77,700 11 65,900 16 52,200 21 36,600 26 18,600
2 86,100 7 75,500 12 63,300 17 49,300 22 33,200 27 14,700
3 84,100 8 73,200 13 60,600 18 46,200 23 29,700 28 10,700
4 82,000 9 70,800 14 57,900 19 43,100 24 26,100 29 6,600
5 79,900 10 68,400 15 55,100 20 39,900 25 22,400 30 2,300
                                          30年間の合計保険料:1,519,800円
●  団信保険vs民間保険
  団体信用生命保険は年齢による差異がないため、若年層ではもともと一般の生命保険の方が保険料は安くなる場合もあったが、保険料率引き上げや、健康体や非喫煙者への割引保険料率適用の保険が増えてきたこともあって、30代後半であっても、民間保険の方が有利なケースも見られるようになってきた。
  月返済額約10万円のローン(借入額2,450万円、期間30年、借入金利2.75%)の年間保険料と、保険金額月額10万円、保険期間30年の収入保障保険(A 社)の年払保険料で比較してみよう。
  前述の例の場合、団信保険料は図表のとおりに推移し、30年間の合計額は、1,519,800円。一方、A社の収入保障保険の年払い保険料(36歳男性/非喫煙標準体)は49,160円、30年間の合計額は1,474,800円でその差は45,000円。これが非喫煙健康体となると、年払い保険料が43,270円で合計額は1,298,100円であり、その差は221,700円に広がる。
  収入保障保険は、保険金を一括で受取るときには利息相当分が差引かれるが、月額10万円の保険金というのはもともとローン返済の利息を含んだ額なので、残債分の保険金額は受取れるはずだ。

  年齢や金利条件(金利が低い)によっては、2009年4月以前に住宅を購入した人でも、民間保険が有利という結果になることもあるだろう。不況で少しでも負担を減らしたいと考える人が増えているこの時代、団信見直しは、全体的な保険見直し提案につなげていくための、格好の切り口となり得るだろう。
(山田静江 CFP®)
2010.01.25
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