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協会けんぽの保険料が地域別保険料に変わる
  社会保険制度改革の一環として、政府管掌健康保険は、2009年10月1日に全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」に変わった。協会けんぽとは、中小企業などで働く人やその家族が加入する健康保険で、以前は国(社会保険庁)が運営していた。協会は非公務員型の法人で、民間のノウハウを取り入れた運営を目指している。療養費の支給など給付に関しては大きな変化はないが、都道府県ごとに支部を設け、予防サービスなど地域に密着した事業を展開することになっている。
●  地域の事情に合わせた保険料を設定
  協会けんぽになって大きく変わるのは、都道府県ごとに地域の医療費等の事情を反映した保険料率を設定するという点だ。地域別保険料率は2010年4月分から適用される。一般的に高齢者が多い県ほど医療費が高いため、保険料率が高くなる。また保険料は「所得×料率」で決まるため、所得水準の低い県は保険料率が高くなる可能性がある。都道府県ごとにあまり大きな差が出ないよう調整はされるが、どこに住んでいるかで保険料の負担が変わることになる。
  自営業者等が加入する国民健康保険は市区町村が運営しているため、保険料率は市区町村により異なり、所得や家族構成などの条件によっては、自治体ごとの負担額の差は最大で2倍近くになっている。協会けんぽについても今後は地域の事情が反映された保険料率となる。
●  2010年度保険料は、最大0.16%の格差
  2010年4月から適用となる都道府県別保険料率が1月末に発表された(下表)。正式決定は2月上旬の予定。新保険料率の全国平均は9.34%。今年度保険料は8.2%だったため、平均で1.14%の上昇だ。厚生労働省によると、年収374万円の会社員の場合、保険料の本人負担は年間で約2万1,000円増える。協会けんぽの保険料は労使折半なので事業主も同額の負担増となる。地域差は最高の北海道は9.42%、最低は長野県で9.26%と、0.16%の差となっている。
<協会けんぽの都道府県別保険料率(2010年4月分から)>
料率 都道府県 料率 都道府県 料率 都道府県
9.42 北海道 9.37 秋田、和歌山、広島、
山口、長崎、熊本
9.32 岩手、栃木、東京
9.41 佐賀 9.36 兵庫、石川、鹿児島 9.31 群馬、千葉、富山、山梨
9.40 香川、福岡 9.35 青森、島根、奈良 9.30 山形、茨城、埼玉、静岡
9.39 徳島 9.34 宮城、福井、岐阜、
三重、鳥取、愛媛、宮崎
9.29 新潟
9.38 大阪、岡山、高知、大分 9.33 福島、神奈川、愛知、  滋賀、京都、沖縄 9.26 長野
  前述の会社員の例で見ると、北海道で加入した場合と長野県で加入した場合の自己負担額の差は年間で約3,000円となる。地域の事情をそのまま反映してしまうと保険料率の格差が広がりすぎるため、当面は激変緩和措置により調整されるが、将来的には国民健康保険同様に地域格差が大きくなるかもしれない。
参考:日本経済新聞(2010年1月28日)
(山田静江 CFP®)
2010.02.08
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