> 今週のトピックス > No.1986 |
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厳しい賃金動向 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() 去る12月、厚生労働省より「平成21年 賃金引上げ等の実態に関する調査結果の概況」が発表された。この調査は平成21年8月に実施され、民間企業(労働組合のない企業を含む)における賃金の引上げ、引下げ等を調査したものであるが、世の中の景気の厳しい状況が浮き彫りとなっている。
● 賃金カット等を行う企業は3割以上
平成21年中に何らかの賃金カット等を実施、または予定している企業は30.9%であり、なんと全体の3割以上の企業が賃金カットを行った(または予定)ことになる。前年は同比率が9.3%であり、賃金カットに踏み切った企業が3倍以上となった。
かつて、賃金カットといえば「まずは管理職から」というのが通例であったが、厳しい経済状況を反映してか、賃金カット対象者を「管理職全員と一般職員全員」とする企業が32.7%となっており、前年の16.3%から倍増している。 ![]() <賃金カット等の実施状況別企業割合の推移>
![]() ● バブルのころは世間相場、今は企業業績
賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素を見ると、「企業業績」が61.6%(前年66.2%)と最も多く、次いで「雇用の維持」が5.2%(同6.6%)および「親会社または関連会社の改定」が5.2%となっている。
この「企業業績」重視の姿勢は、昨今では半ば常識となっているが、これは最近のことであり、バブル景気の面影が残っていた時代までは、企業業績と並んで重視されていたのが「世間相場」であった。右肩上がりの時代には周りを見ながら歩調を合わせて皆が幸せをつかもうと夢見て突き進んでいたが、今では周りのことなどかまっていられず、とにかく自分の足元を固めることが最優先となっている。古き良き時代と現在との価値観が全く違ってきていることがよくわかる。 ![]() <賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素別企業割合の推移>
![]() ● 賞与は月例給与の1.8カ月分、労働組合がある方が支給率も高い
夏の賞与(平成21年3月〜8月)を支給(または支給予定)の企業割合は83.0%で、1人平均の支給額は532,661円、支給割合は月例給与の1.8カ月分となっている。
産業別には「鉱業、採石業、砂利採取業」が2.2カ月、情報通信業が2.1カ月と比較的高めの設定にはなっているが、それでも突出しているものではない。 さらに、労働組合の有無による調査も行われており、労働組合のある企業の方が支給額も支給月数も高い傾向にあることがわかる。 ![]() <労働組合の有無による賞与支給企業割合、1人平均夏の賞与支給額および支給月数>
![]() 子ども手当て等のプラスの政策は実現されることになったが、対象年齢の子どもがいない層に対しては逆に増税感が蔓延している。所得の多寡によっては税金よりも多くの額を徴収される社会保険料も年々増加の傾向にある。
安定的な景気回復のためには、消費を増やすために可処分所得を増やしていかなければならない。所得を増やすために国が実施する施策ももちろん重要ではあるが、予算編成に四苦八苦している状況のなか、個々人に恩恵のあるものを期待して口を開けているようでは日本の将来はおぼつかない。誰に頼ることなく、一人ひとりが「今日よりも明日を良くしよう」という気持ちで日々を過ごしていくことが解決策となることを期待したい。 ![]() 厚生労働省:「平成21年 賃金引上げ等の実態に関する調査結果の概況」
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2010.02.08 |
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