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平成21年分確定申告、ちょっと差を付けるワンポイント
●  今回は扶養控除の改正なし
  2月16日から、いよいよ平成21年分の所得税確定申告が始まる。今回は、確定申告において間違いやすいポイントや、知っておくとちょっと差が付く知識などを取り上げてみたい。
  扶養控除については、子ども手当の関係で広く報道もされたので逆に誤解されている方もいらっしゃるかもしれないが、今回の確定申告は昨年通りとなり、改正は行われていないので注意したい。共働き夫婦等の場合で扶養親族が2人以上いる場合には、扶養控除の取り方次第で夫婦の税額が大きく変わることもあり得る。一般的には、所得の多い方で扶養控除を適用するのが得策となる。もし、年末調整で既に不利な扶養控除の適用をしてしまっている場合でも、確定申告することで扶養控除の入れ替えが認められる。
●  医療費控除は給付金に注意
  医療費控除の適用を受けられる方も多いだろう。医療費控除は、年間医療費が10万円か所得の5%のいずれか少ない方を超えた金額分だけ所得控除の対象となる。つまり、所得が200万円未満の方については、年間医療費が10万円を超えていなくても控除の対象となる可能性がある。
  また、医療費控除は自分の分だけでなく、同一生計親族の医療費を負担した場合でも対象とすることができる。同一生計親族というのは同居親族に限らないため、仕送りをしている田舎の両親等の医療費でも対象となる。これも一般的には家族の中で最も所得の多い方が適用を受けるのが有利となる。
  なお、医療費控除については高額療養費の還付や生命保険会社からの給付金がある場合には、医療費から控除する必要がある。年末までに給付を受けていなくても、目的となった治療が年内に発生していれば、見積りで控除する必要があるので注意したい。
●  保険満期金は一時所得
  保険満期金の申告漏れも例年多発しているようである。一時所得は50万円の特別控除額があるため、50万円未満の場合には所得は発生しないが、それを超える場合は要注意である。ただし、保険満期金の場合には単純に満期金の金額が課税所得になるわけではない。保険満期金から支払保険料の総額を控除し、そこから50万円を差し引いて2分の1した金額が課税所得となる。
●  振替納税で納期延長
  所得税の場合、確定申告の期限は3月15日となっているため、原則はこの日までに納税しなければならない。ただし、振替納税の手続きをした場合には振替日が4月22日(今年の場合)となるため、納期の延長が可能となる。振替納税の手続きは、期限内に申告した上で振替納税の依頼書を提出すれば、適用が受けられる。消費税については、3月31日の期限が今年の場合、4月27日となる。ちなみに、振替納税は管轄の税務署ごとに管理されているため、転居等で税務署が変わった場合には再提出となる。
●  電子申告、特別控除は1回きり
  ここ数年で、確定申告をe−Taxでされる方も増えている。「電子証明書等特別控除」の適用を受けるために電子申告しよう、という方もいらっしゃるかもしれない。ただし、この「電子証明書等特別控除」は1回きりしか適用できない制度となっている。平成19年分または20年分で既に適用を受けられた方は今年の適用がないため、注意したい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2010.02.15
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