>  今週のトピックス >  No.1989
上司が若手社員に期待するのは、「困難を克服しようとする力」
●  若手社員は、「アイデアや工夫を生み出す力」を伸ばしたい
  JTBグループの人事コンサルティング会社である株式会社ジェイティービーモチベーションズは2月2日、インターネットリサーチで「若手社員と、上司の意識のギャップに関する調査」の結果を発表した。若手社員(入社1〜3年目)には今後成長したい項目、上司には若手社員に期待する項目を尋ねたところ、上司が若手社員に期待するのは 「困難を克服する力」(40.5%)、一方で若手社員が伸ばしたいのは 「アイデアや工夫を生み出す力」 (42.7%)がそれぞれ最多となり、両者の間には大きなギャップがみられた。
  上司の声として、「ある程度の重圧にも精神的に打ち勝つ」「何事にも逃げずにやりきる」などがあがっていたことを考えると、現代の若者に対して精神的な強さを求めていることが読み取れるといえる。
●  上司の意識は、より現実的で短期的である
  上記調査結果から他にも上司と若手の答えが大きく分かれた項目があるので順番にみていきたい。まず若手社員は、「仕事のおもしろさを感じる力」は、30.1%であったが、部下を持つ上司は、15.9%に留まり両者の間には、大きな差があった。同様に、「業務に関する知識や技術」については、若手社員が35.3%であるのに対して、部下を持つ上司は24.3%とこの項目でも両者間に差があった。
  これらの結果をまとめる形として、株式会社ジェイティービーモチベーションズでは、「困難を克服する力をつけてほしい」と期待する上司の意識は、より現実的、短期的であり、今現実に目の前にある仕事上のトラブルやそれによる重圧を乗り越え仕事を進めてほしいという気持ちであると分析している。
  一方で、若手社員は、着実に知識と技術を身に付け、自分のアイデアを活かし、おもしろさを感じながら仕事をしたいという気持ちを持っており、これは内から湧き上がる内発的なモチベーションを大切にしたやや長期的な視点に立った意識であると分析している。
●  若手社員は「上司に相談しにくい」が3人に1人
  成長を妨げていることについて質問したところ、若手社員の自己評価では、「上司に相談しにくいこと」「自身に『成長しよう』という意識が薄いこと」とする人が、ともに33.7%と最も多く、次いで「職場に相談できる人がいないこと」30.4%、「適切な目標や業務が与えられていないこと」28.5%という結果となった。
  上司からの評価では、「自身に『成長しよう』という意識が薄いこと」が、38.5%と最も多く、次いで「適切な目標や業務が与えられていないこと」26.9%、「職場に、従業員を成長させようという風土がないこと」24.9%と続いている。
  いずれにしてもこの調査結果に限らず、過去の調査からも、ゆとり世代が働くことに求めるものは「人間としての成長」であることは確かであり、若い世代を中心とした職場の活性化や組織風土改革においては、成長は欠くことのできない重要な要素として位置付けられているとまとめている。
  時代の移り変わりとともに、変化していく価値観の中で上司は、若手の成長促進のために何をすべきなのかについて今まで以上に真剣に考えていく必要があるといえるだろう。
参考:株式会社ジェイティービーモチベーション 「若手社員の成長と、上司の意識とのギャップに関する調査」
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.02.15
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