>  今週のトピックス >  No.2002
物価は相変わらず下落傾向
●  消費者物価指数はマイナスが続く
  私たちにとって身近な物価指数といえば「消費者物価指数」がよく知られています。消費者物価指数は、平成17年の物価水準を100とした場合の日本国内における物やサービスの小売価格の水準を示す指数で、総務省が毎月末に発表しています。
  物価指数には他にも、国内企業間で物の取引をする時の価格水準を表す「企業物価指数」や、輸入品の平均価格の水準を表す「輸入物価指数」がありますが、こちらは日銀から発表されています。
  さて、平成22年1月分の消費者物価指数が、2月末に発表されました。発表によると、天候などの変動要因が多く値動きの激しい生鮮食品を除いた総合指数で見ると、前年同月比で1.3%の下落、前月比で見た場合も0.6%の下落でした。前年同月比での物価の下落は昨年3月から11カ月連続で続き、物の値段は相変わらず下がり続けているようです。
●  再びデフレスパイラルか?
  日銀による金融緩和措置の効果もむなしく、物の値段が下がる「デフレ」がおさまる気配は今のところ見えてきません。物を買ったりサービスを受ける分には、デフレも悪くないように思いがちです。しかし、物やサービスの値段を下げると、企業の業績を悪化させる要因になります。業績悪化の影響は、企業で働く従業員の賃金や報酬にも影響を及ぼし、収入が減れば消費者は物を買うことを控えるようになり、物が売れないから企業はさらに値段を下げる…。このように企業が値下げを繰り返していくと、最悪の場合は企業の倒産、従業員の失業に結びつく可能性もあるでしょう。
  こうして考えると、物の価格が下がるデフレはよいことばかりではないようです。日本は90年代初めのバブルの崩壊、その後90年代終わりからのデフレによる「失われた10年」と続き、景気が長く停滞していた時期がありました。再び景気の長期停滞が来るのかどうかは、まさに「デフレ」が鍵を握るともいえそうです。
  さらに、消費者物価指数は毎年の年金額改定にも関係する大事な指数です。今後どのように推移していくのか、大いに注目したいところです。
参考:総務省統計局「消費者物価指数 平成22年1月分」
2010.03.08
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