>  今週のトピックス >  No.2009
高齢者医療の負担増で医療保険料が上昇
  後期高齢者医療制度の2010年度保険料が発表になった。後期高齢者医療制度は、都道府県単位の広域連合が運営主体であり、保険料率は都道府県ごとに異なる。高齢化の進展とそれに伴う医療費増を反映して、多くの都道府県で保険料率が引き上げになる。

 <2010年度後期高齢者医療制度の保険料(増加率上位5都道府県)>
   1位:徳島県…4万8,391円(7.7%増)
   2位:広島県…6万3,801円(5.8%増)
   3位:大阪府…8万 728円(5.1%増)
   4位:愛知県…7万7,658円(5.0%増)
   5位:北海道…6万5,319円(5.0%増)

  各都道府県の保険料格差は、秋田県の3万円台から、東京都や大阪府、神奈川県の8万円台まで約2倍となっている。大病院などで治療を受ける機会の差か、大都市圏では保険料が高く、人口の少ない地方都市では保険料が安い傾向がある。
●  高齢者医療の負担増で、現役世代の医療保険料も上昇
  後期高齢者医療制度の財源は、5割が公費(国、都道府県、市区町村)、4割が他の医療保険制度からの支援金、そして1割が高齢者の保険料で運営されている。医療費が増えて後期高齢者医療制度の保険料が高くなるということは、4割を負担する他の医療制度の負担も大きくなっているということを意味する。
  「今週のトピックス」No.1985でも取り上げたように、2010年度の協会けんぽの保険料率は全国平均で9.34%、2009年度より平均で1.14%上昇している。その要因のひとつが後期高齢者支援金の負担が増したことである。
  また、大手企業などが加入・運営する健康保険組合でも、後期高齢者医療負担金増加により財政は悪化しつつあり、多くの健保組合で2010年度も保険料率を引き上げている。

 <各健康保険組合の2010年度保険料率(例)>
   イオン・・・・・・・・・・8.8%   (0.4%増)
   関東百貨店・・・・・8.4%  (1.6%増)
   日産自動車・・・・・8.02%(0.74%増)
   NEC・・・・・・・・・・・・7.9%  (0.2%増)
   富士フィルム・・・・7.1%  (1.0%増)

  政権交代で、後期高齢者医療制度の見直しが検討されているものの、高齢化による医療費増に伴う各健康保険制度の財政の悪化は避けられない。それは医療関連費用の負担増(健康保険料の上昇や、医療費の自己負担増)というかたちで、高齢者だけでなく現役世代をも巻き込んでいくことになるだろう。
参考:2010年3月8日付および3月16日付 日本経済新聞
(山田静江 CFP®)
2010.03.23
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