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「緑内障」告知における留意点
  今回は、前回(2011)に引き続き目の疾患「緑内障(高眼圧症)」についてお話をします。
●  「緑内障」とは
  緑内障とは視神経が損傷される病気で、眼圧が高くなった結果起きると考えられています(正常眼圧:10〜20mmHg、平均:14〜16mmHg)。緑内障は日本における中途失明原因の上位疾患です。病気が進行すると視力を喪失することもあり、喪失した視力の回復はできません。
  眼圧上昇は眼球の房水の生産量と排出量の不均衡によって起こります。房水の流れが妨げられて眼圧が高くなった結果、視神経乳頭が眼球内側から圧迫されて(陥凹)、視神経が損傷されるのです。
  緑内障は、一般に眼圧上昇を伴うことが多いと思われていますが、実は正常眼圧で発症する緑内障(正常眼圧緑内障)が全体の6割を占めています。よって緑内障を発症していても眼圧の検査だけでは異常が発見されないことも多いため、40歳を過ぎたら年に1回は眼底検査をすることがお勧めです。
  また、突然激しい眼痛、頭痛、眼の充血を生じる急性の緑内障は全体の1割で、それ以外の緑内障は、一般には末期に至るまで自覚症状はありません。視力低下、視野欠損、視野狭窄(求心性視野狭窄)を初めて自覚するころには、残念ながら緑内障は末期です。私たちの目は両目で視野をカバーしており、多少の視野欠損には気付きにくいのです。

  緑内障の危険因子は、(1)40歳以上 (2)家族歴 (3)遠視または近視 (4)糖尿病 (5)コルチコステロイド薬の長期服用 (6)眼科外傷の既往などです。特に、糖尿病やステロイド投薬時に発症することがあるため、基礎疾患の有無に注意が重要です(これは続発性緑内障とよばれます)。

  緑内障治療には点眼治療と手術による治療があります。手術による治療は、
  (1)開放隅角緑内障に対するレーザー線維柱帯形成術
  (2)閉塞隅角緑内障レーザー周辺虹彩切除術またはレーザー虹彩切開術
  (3)濾過手術とよばれる線維柱帯切除術
などが行われます。緑内障は片眼の手術後に他眼にも発症することもあり、適切な治療が行われなければ視神経萎縮(網膜の裏に視神経がたくさんあって、圧迫され視神経が委縮します)から失明することもあります。
  いずれにせよ緑内障を発症したら眼圧を下げるための点眼薬を生涯続ける必要があります。
●  ご契約をいただく際には
  人間ドックで指摘された高眼圧については、再検査の結果を添付するか、告知書に再検査時の眼圧の数値と眼底検査の結果を記入していただくことをお勧めします(眼圧は毎日変わりますので、人間ドックで要再検査となっていても、再検査の結果、異常のないこともあります)。
  緑内障(高眼圧症)については、正式な診断名、罹患期間、現在の視力、眼圧、眼底検査所見、視野障害の有無、点眼薬の種類、手術名の告知を求めることが重要です。 上記内容を含む眼科専門医の診断書があるとさらに良いでしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.04.12
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