>  今週のトピックス >  No.2021
改正雇用保険法成立
「31日以上の雇用見込み」で雇用保険の適用
●  雇用保険の適用基準を「6カ月以上の雇用見込み」から「31日以上の雇用見込み」に
  厳しい雇用経済情勢の中で、非正規労働者のセーフティーネット機能をさらに強化するために、非正規労働者の適用範囲拡大を狙った改正雇用保険法が平成22年3月31日に参院本会議で可決、成立した。施行日は原則として平成22年4月1日となっており、まさに直前での成立となった。
  改正の目玉となるのは、適用範囲を雇用見込み期間「6カ月以上」から「31日以上」に短縮し、非正規労働者が失業給付を受けやすくなったことである。適用範囲の拡大については、1年前に「1年以上」から「6カ月以上」の雇用見込という要件に変更したばかりであったが、今回さらなる緩和をし、今まで雇用保険に加入できなかった非正規労働者を大勢救済する形になる。経営者にとってはさらなる保険料の負担増は、頭の痛い問題といえる。
●  雇用保険未加入者も2年を超えて遡及加入が可能に
  今回の本会議で成立した雇用保険法の改正についてポイントをまとめると次のとおりとなる。施行日は、平成22年4月1日とするが、下記(2)については公布日から9カ月以内の政令で定める日とする
(1) 雇用保険の適用基準の緩和
  雇用保険の適用基準を
6カ月以上の雇用見込み  →  31日以上雇用見込み
(ただし、週所定労働時間20時間未満の方を除く)
(2) 雇用保険未加入者に対する遡及適用期間の改善
  事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったため雇用保険未加入と なった者について、給与から雇用保険料が控除されていることが確認で きれば、2年(現行)を超えて遡及適用される
この場合、事業所全体として保険料を納付していないことが確認された ケースについては、保険料徴収時効である2年経過後でも納付可能となり、 納付を勧奨される(施行日は公布日から9カ月以内の政令で定める日)。
(3)雇用保険料率の引き上げ
  失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半)については昨年(平成21年 度)に限り、 0.4%引下げ(1.2%→0.8%)ていたが、今回1年限りの措 置ということで以前の保険料率に戻り1.2%となった。これを折半負担し、 雇用保険2事業分に係る0.35%(事業主全額負担)を加算して、雇用保険 料率は1.55%となった。
※ なお今回の改正により、雇用保険料率は、次のとおりとなる。
平成22年4月からの雇用保険料率
保険料率 事業主 被保険者
一般の事業 15.5/1000 9.5/1000 6.0/1000
農林水産・清酒製造事業 17.5/1000 10.5/1000 7.0/1000
建設の事業 18.5/1000 11.5/1000 7.0/1000
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.04.12
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