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2009年給与所得者の税金合計は5年ぶりの減少
●  所得税は月平均額2万1,556円、前年比11.7%減
  日本生活協同組合連合会がこのほど発表した2009年「全国生計費調査」結果速報(有効回答数1,566世帯)によると、2009年の給与所得世帯の税金の合計は、給与所得世帯の所得減少に伴い、所得税が月平均額2万1,556円、前年比11.7%減と大きく減少した影響から、月平均額4万8,967円、同5.1%減と、2005年以降5年ぶりに減少した。2008年10月のリーマン・ショックに端を発する不況の影響が、「収入減」という形で鮮明に表れた。
  この結果、税金合計が収入に占める割合も、前年から0.1ポイント減の8.5%となった。もっとも、前年は、2007年の住民税率変更(定率減税廃止・税率変更)の影響から、税金・収入に占める割合ともに過去10年の最高を記録しており、2009年も過去10年間では2番目に高い水準だ。「所得税(夫+妻)の月平均」は前年比11.7%減の2万1,556円だったが、「住民税(夫+妻)の月平均」は同0.3%と微増の2万7,461円となった。
●  税金・社会保険料の合計は月平均額11万1,009円
  また、全モニター世帯の税金と社会保険料の合計の月平均額は、11万1,009円で同3.3%減だった。内訳は、「税金」が4万8,967円、「社会保険料」が6万2,042円。「税金」は月平均2,651円の減少、「社会保険」は1,100円の減少と、「税金」の負担割合が増えた。この結果、合計で3,751円の減少となり、収入に占める割合も前年から0.2ポイント減の17.9%となったが、この10年間では2008年に次ぐ2番目の高水準だ。
  なお、2009年の給与所得世帯の収入の月平均額は、「給料(夫)」44万4,092円、「給料(妻)」4万5,477円など計67万7,615円で前年比2.6%減。前年2008年(69万5,536円)から約1万8,000円減少している。これは、夫の「賞与」が前年比11.2%減の11万2,475円と1割以上も減少(妻は同2.3%増の9,163円)したことや、金額影響度の大きい「給与(夫)」が前年から約1万3,000円減少したことが影響した。
●  1世帯あたり年間消費税負担は17万2千円
  一方、日本生協連では、「全国生計費調査」とは別に「家庭で負担した消費税の調査」を行っている。2009年は50生協833世帯(有効回答数)の協力で1年間の消費税の負担実態を集計した結果(速報)、年間消費税負担額は、1世帯あたり平均17万2,000円だった。収入に占める割合は2.46%、消費支出に占める割合は3.54%で、消費支出が伸びることのない状況のなかでは、金額・割合ともにここ数年大きな変化はない。
  過去10年間の推移をみると、消費税が3%で導入された1989年は、消費税負担額が10万4,137円、収入に占める割合が1.57%、消費支出に占める割合が2.16%だったが、消費税率が5%に引き上げられた1997年は、消費税負担額が18万2,260円、収入に占める割合が2.23%、消費支出に占める割合が3.24%となり、いずれも大きく上昇した。それ以後は同じような水準で推移している。
  また、2009年の1世帯あたり年間消費税額を所得階層別にみると、負担額は、年収「1,000万円以上」の世帯で27万4,000円、「400万円未満」の世帯で10万2,000円と2.68倍となっている。しかし、年収に占める負担割合では、「400万円未満」の世帯で3.30%と高く、「1,000万円以上」世帯の2.12%の1.56倍という負担率となっている。年収に占める負担割合は、低収入世帯ほど高い状況が分かる。
参照資料は↓
http://jccu.coop/info/pressrelease/pdf/press_100326_01_01.pdf
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.04.26
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