>  今週のトピックス >  No.2033
大学受験は、国公立・地元志向高まる
●  国公立の志願者が3.0%増
  不況の影響は大学入試の傾向にも顕著に現れている。文部科学省によると、2010年度の国立大学志望者は前年度比2.0%増、公立大は6.0%増で、国公立大学全体では、3.0%増となった。
  文部科学省の「私立大学等の平成20年度入学者に係る初年度学生納付金等調査結果」および「文部科学省令」によると、大学に4年間通ったときの学費合計は国立大学の場合、約242万円で済むが、私立文系なら約382万円で国立より140万円高くなり、私立理系ともなると合計約519万円と277万円も高くなる。少しでも学費負担を減らそうと、国公立大学を志望する人が増えるのは当然のことと言えるだろう。
●  地元志向や安全志向の傾向も
  自宅外通学ともなると、学費のほか生活費の仕送りが大きな負担になる。また、浪人すれば年間100万円単位の予備校費用がかかることになる。こういった負担増を避けるため、自宅から通える地元の大学を受験する学生が増え、また確実に入学できる中堅校の人気が高まったのも大きな特徴だ。
  私立大学では、難関校に分類される大学の志願者数が前年割れしたのに対し、それよりやや難易度が下がる中堅校の志願者数は伸びている。親の懐具合を考えて、背伸びせず、自宅から通えて確実に入学できる大学を受験する学生が増えたようだ。
●  学費準備は計画的に
  自分の子に高等教育を受けさせたいと考えるなら、子どもが小さいときから計画的に学費を準備しておくことが大切だ。大学の入学前後の費用(受験料や入学金)と、4年間の学費分として、子どもが18歳になるころまでに、最低限300〜500万円は準備しておきたい。
  筆者にも大学に通う2人の子がいるが、中学生以降は学費や塾代、部活関係などの学校教育関係の費用に加えて、食費や洋服代、日用品代など予想外の出費も増えていく。目の前の支出増に振り回されて、学費準備どころか、高校生くらいから学費を借り入れに頼らざるを得ないケースも見られる。中高年になってから貯蓄が減ったり借金が増えたりしては、老後の不安は増すばかりだろう。
  今年度から支給されることになった子ども手当は、もらえなかったものと考えて学費準備に充てることをお勧めしたい。
  家計に無理のない進路を選ぶ傾向は、FPとして見れば、好ましい選択だと思う。子どもに過分な教育費をかければ親の老後資金準備がおろそかになってしまうからだ。公的年金の受給年齢引き上げや企業の退職金制度見直し(減額)などを背景に、老後資金準備の必要性は高まっている。長期的な視点とバランス感覚を持った家計運営が必要だ。
参考:日本経済新聞(2010年4月26日)

(山田静江 CFP®)
2010.05.10
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