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「下肢静脈瘤」告知における留意点
  私たちの体の血管には動脈と静脈があります。心臓に戻る血液は静脈を通って戻ることはご存じですよね。静脈には2種類、体の深部にある「深部静脈」と体の表面付近にある「表在静脈」があります。
●  「下肢静脈瘤」とは
  一般に静脈には、血液の逆流を防ぐための弁があり、血液が重力に負けて下へ引かれて逆流しないようにくい止める働きをしています。つまり逆流防止弁です。下肢静脈瘤は、表在静脈の弁が壊れて、足の下の方に血液がたまり表面がコブのように盛り上がる病気で、男女比では女性に多いといわれます。
  生命に関わる病気ではないので放置も可能ですが、むくみやだるさ・色素沈着や潰瘍になる場合もあり、いずれは治療が必要となります。まれに深部静脈血栓が肺に飛び、エコノミー症候群になることもあります。個々のケースや重傷度に応じて治療方法が異なります。
●  治療法
1.  弾性ストッキングやマッサージによる圧迫法(保存的療法)
2. 硬化療法(硬化剤を注入し血管の内側を接着させ静脈を閉塞させる)
3. 高位結さつ(弁不全を起こしている表在静脈と深部静脈との合流部をしばり血流を止める)
4. ストリッピング手術(全身麻酔か腰椎麻酔で静脈瘤を血管ごと抜去するので、短期間の入院が必要)
5. 下肢静脈瘤血管内レーザー治療法(静脈にファイバーを挿入し、レーザーを照射して静脈を閉塞させるもの。局所麻酔下に行えるため外来での治療も可能であり、静脈閉塞率も高い)
ちなみに一次性下肢静脈瘤に対する下肢静脈瘤血管内レーザー治療法は、先進医療の対象です。
(第3項先進医療11番 平成22年5月11日現在)。
●  ご契約をいただく際には
  ストリッピング手術またはレーザー治療は根治療法なので、完治後3カ月位経過していれば引受査定上は特に問題ないと考えます。その他の治療方法の場合は、合併症や再手術の可能性も考えられるため、治療後しばらくの期間は部位不担保等の条件がつくと思われます。
  まだ治療していない場合は、いずれ手術するので条件(医療保険なら2〜5年くらいの部位不担保など)がつく可能性があります。告知いただく際には、下肢静脈瘤の左右の別もしっかり確認しご記入いただくことが大事です。死亡リスクは少ないのですが、潰瘍や浮腫などの合併症があるならば、中程度の保険料増しとなることも考えられます。手術後で後遺症なく完治してから申込まれるのがベストです。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.05.17
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