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「新卒者就職応援プロジェクト」の概要
●  中小企業と新卒者の橋渡し
  今年の就職内定率は、皆さんもご存じのようにかなり厳しい状況であった。来春の採用予定もかなり厳しいものと思われる。しかし一方で、平成22年1月に経済産業省が公表した雇用創出企業のように、採用意欲のある中小企業も多く存在しており、ミスマッチが発生している状況にあるというのが正しい。そこで中小企業庁は、採用意欲のある中小企業と、今春卒業し就職が決まっていない方々との橋渡しを行うことを目的として、「新卒者就職応援プロジェクト」を実施している。今回は、そのプロジェクトの概要についてまとめてみようと思う。
●  受入企業に、助成金として日額3,500円支給
  「新卒者就職応援プロジェクト」とは、就職の決まっていない新卒者を対象に、中小企業の生産現場等に触れる機会を提供するとともに、中小企業で働く上で必要とされる技能・技術・ノウハウ等を習得してもらうため、長期間の職場実習(インターンシップ)等を実施するものである。
  対象者は、5,000人程度としており、今春、高等学校、高等専門学校、大学、大学院、短大、専修学校を卒業し就職が決まっていない人たちである。受入企業は、ものづくりや商店など幅広く対象としている(一部対象外の業種有り)。また実習期間は、原則6カ月間となっている。
  いずれにしても、今回のプロジェクトは、実習プログラム等に沿って実施されるものであり、技能・ノウハウ等の習得を目指すものである。非正規社員、アルバイト等の代替ではないので、その点を十分理解しておく必要がある。
  このプロジェクトは、企業側にも実習生に対しても助成金が支給されることになっているが、その金額は下記のとおりである。
  ○助成金
  <技能習得支援助成金>  実習生に対し日額7,000円を支給
  <教育訓練助成金>受入企業に対し日額3,500円を支給
  <寮借り上げ費助成金>受入企業に対し日額1,300円を支給
  (上限・支給条件あり)
●  大事なのは、現場の実習生や中小企業の声
  中小企業庁の委託を受けている企業の1つである株式会社学情の運営サイトでは、募集企業の登録が検索できるようになっている。そのサイト内には、登録されている企業数も比較的多く、新卒者には利用しやすくなっているのが特徴だ。今回のプロジェクトは、中小企業にとっても、助成金の支給を受けている実習期間で人材の見極めをすればいいので使いやすい。
  コーディネート機関は、実際に制度を利用している企業の声や実習生の体験談などを聞きながら、実習プログラム等を改善していく必要がある。株式会社学情の新卒者応援プロジェクトのサイトにリンクしている新卒者就職応援ブログでは、両者の声も含めていろいろな情報が記載されているので大変役に立つだろう。新卒者も企業側もこのような情報を参考にして、プロジェクト期間を有効に活用してもらいたい。
  しかしながら問題もないわけではない。このプロジェクトはあくまで職場体験を行うものであり、雇用ではないということである。実習期間の6カ月が過ぎたあとで、雇用にシフトする人がどのくらいの割合でいるのかについては、きちんと調査して、その後課題を分析し、来年以降にいかす必要がある。
新卒者就職応援プロジェクトのご案内
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/hashi/download/100304Yale.pdf
株式会社学情 新卒者就職応援プロジェクト
http://shushokuouen.jp/front/top/index

(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.05.17
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