> 今週のトピックス > No.2040 |
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清算課税改正に伴う留意点 | ||||||||
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![]() ● 財産課税から損益課税へ
去る3月24日に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立し、その中に清算所得課税における改正事項が含まれている。グループ法人税制の導入と併せて、これからのグループ再編等に大きな影響があるものと思われる。今回は清算所得課税の改正点を簡単にご紹介したい。
改正点はいくつかあるが、まず最も重要な改正は、財産課税から損益課税への移行である。これまでは法人が解散し、清算するときには、残余財産から解散時における資本金等の額と利益積立金等の額を控除した金額に対して課税が行われていたが、今回の改正により、清算事業年度に入っても、通常の法人と同じ損益課税が行われることになる。 グループ法人税制の導入により、法人による完全支配関係にある内国法人間での寄附金や受贈益については、それぞれ損金や益金に算入されなくなる(平成22年10月1日以後適用)。そのため、例えば残余財産がある100%子会社の清算をする際に、資産を実質無税で親会社に移転すれば、現在の清算所得課税は機能しなくなる恐れがある。そのため、グループ法人税制の導入と同時に改正が行われたものと思われる。 ![]() ● 期限切れ欠損金、使用可能に
損益課税への移行に伴い、これまでなら清算時に債務免除を受けても課税対象とはならなかったケースで課税が生じる可能性が出てくる。そのため、損益課税への改正と同時に、一定の場合に期限切れ欠損金の損金算入を認める改正が行われる。これは、実態貸借対照表上で債務超過の場合に認められることになる。
具体的に、「期限切れ欠損金」というのがどの数字を指すのかについては、まだ正式決定していないが、現段階では別表五(一)の期首利益積立金額のマイナス値を使う模様である。 また、残余財産の確定日の属する事業年度に係る法人事業税は、通常の事業年度であれば翌期の損金となるが、清算してしまえば損金に算入する機会を失うことになるため、最後事業年度の損金として算入できるようになる。 ![]() ● 一定の場合には、子会社の未処理欠損金の引継が可能
完全子会社を清算する場合には、その親会社における処理も変わることになる。現在は、子会社が清算した場合には、親会社の帳簿上、計上されている子会社株式は消滅損を計上し、その消滅損が税務上も損金として認められている。
それが改正後は、子会社株式消滅損の計上は認められなくなる。対象となるのは、内国法人との間に完全支配関係がある内国法人とされている。その代わり、代替措置として子会社の未処理欠損金額は、一定の要件を満たせば、親会社の未処理欠損金額として認められるようになる。 なお、今回ご紹介した清算所得課税関連の改正は、平成22年10月1日以降に解散した法人から適用となる。グループ法人の再編等で清算を検討している場合には、これらの改正点を踏まえ、十分に実施時期を検討する必要があるだろう。 ![]() (村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
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2010.05.24 |
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