>  今週のトピックス >  No.2041
離婚は減ってきています
  厚生労働省より「平成21年度『離婚に関する統計』の概況」が発表された。この「離婚に関する統計」は、昭和59年度、平成2年度、11年度についで今回が4回目となっている。
●  件数は減少傾向だが、子は鎹(かすがい)にならなくなった
  離婚件数の年次推移をみると、平成14年の約29万組をピークに年々減少傾向にあり、平成20年は約25万1,000組となっている。
【離婚件数の年次推移】(単位:組)
平成15年 16年 17年 18年 19年 20年
283,854 270,804 261,917 257,475 254,832 251,136
  上記の表にその内訳は記載していないが、年齢的には男女ともに30〜35歳の離婚率が最も高くなっている。この年齢層は幼い子どもを抱え、「世帯主の万一の死亡保障」や「子どもの教育費」へのニーズが高く、一家が一致団結しているイメージを持っている人も多いだろう。
  しかし、多様なライフスタイルが存在している現在、以下の数字があらわすように「子どもがいる・いない」というのは離婚に関してはあまり意味を持たないようだ。かつて言われていた「子は鎹(かすがい)」というのは、完全に昔の言葉になってしまったことがよくわかる。
【親権を行わなければならない子の有無別にみた離婚件数(平成20年総数)】(単位:組)
総数 子どもあり 子どもなし
251,136 143,834 107,302
●  厚生年金の離婚時年金分割の影響で熟年離婚は増えた?
  ご存じのとおり、公的年金制度において「離婚時年金分割」が平成19年に施行されている。この年金分割は2段階で導入され、まず平成19年4月に当事者間の協議において厚生年金の保険料納付記録を分割できる制度が導入され、その1年後の平成20年4月から第3号被保険者期間の厚生年金の分割を「協議」や「裁判」なしで行える制度が導入されている。
  平成20年4月からの分割制度は、同月以降の期間のみが対象であるため、その影響は短期間で図ることはできないが、平成19年4月からの分割制度は過去のさかのぼっての分割が可能であったため、「大量離婚」につながるのではないかと危惧されていた。
  しかし、平成18年と平成19年の離婚件数を比べてみると、総数では減少傾向にあり、下表のとおり同居期間がある程度長い(25年以上)層で、多少増えた感はあるものの、ほとんど誤差の範囲内ということができるだろう。
【同居期間別離婚件数の年次推移】(単位:組)
総数 25〜30年 30〜35年 35年以上
平成17年 10,747 6,453 4,794
18年 10,029 5,947 4,747
19年 10,796 6,261 5,507
20年 10,673 5,867 5,448
●  離婚が減るのは喜ばしい?
  昭和25年の離婚件数が約8万組で、現在はその3倍ほどになっているものの、ここ数年は横ばいというのが離婚の現状だが、離婚しても経済的に苦しいから我慢している夫婦が多いのか、離婚そのものが減ってきているのかはわからない。離婚が増えることで潤う産業もあるのだろが、保険販売に携わる側からすれば離婚数の減少は解約・失効の元凶が減ることでもあり、歓迎すべきことといえるだろう。
厚生労働省:平成21年『離婚に関する統計』の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/index.html
2010.05.24
前のページにもどる
ページトップへ