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国税庁、「口蹄疫」問題で納税猶予等を案内
●  納税の猶予
  宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫」は、感染被害が拡大しており、家畜の殺処分頭数は11万4,177頭(18日現在)に達する深刻な状況にある。畜産農家の被害の大きさは想像を絶する。政府は対策本部を設置し、1,000億円の予算措置を打ち出したが、国税庁はこのほど、「口蹄疫により被害を受けた皆様へ」と題して、災害にあったときの納税の猶予・申告などの期限延長について、同庁ホームページ上であらためて案内している。
  納税者が、今回の口蹄疫感染被害などの災害により被害を受け、納付期限までに納税できない場合には、所轄税務署長に申請することにより、一定の国税について納税の猶予を受けることができる。損失を受けた日に納期限が到来していない国税については、(1)損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税は、納期限から1年以内、(2)所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分は、確定申告書の提出期限までに、それぞれ納税猶予される。
  すでに納期限が到来している国税についても、一時に納付することができないと認められる国税については、原則として1年以内に納税すればいい。
●  申告などの期限の延長
  次に、口蹄疫感染被害などの災害により、申告、納付などをその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2カ月以内の範囲で、その期限が延長される。所轄の税務署長に申告、納付などの期限の延長を申請し、その承認を受ける必要がある。
  また、所得税の予定納税者が、口蹄疫感染被害などの災害により損失を受けたときは、減額申請をすることで予定納税額の軽減免除を受けることができる。6月30日の現況によって見積もった2010年分の所得税の額が予定納税基準額に満たないときは、原則として7月15日までに予定納税の減額申請をし、その承認を受けることになる。なお、災害の復旧に必要な資金の借入を受けるための納税証明書の手数料は無料になる場合がある。
●  消費税における「やむを得ない事情」により届出書が提出できなかった場合
  そのほか、消費税に係る手続きでも、事業者が、その課税期間開始前に「課税事業者選択届出書」や「課税事業者選択不適用届出書」「簡易課税制度選択届出書」「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することができなかったことについて、やむを得ない事情があるため、これらの届出書が提出できなかった場合には、所轄税務署長の承認を受けることにより、その課税期間前にこれらの届出書を提出したものとみなされる。
  この承認を受けようとする事業者は、その選択をしよう(やめよう)とする課税期間の初日の年月日、課税期間の開始の日の前日までにこれらの届出書を提出できなかった事情などを記載した申請書を、やむを得ない事情がやんだ日から2カ月以内に所轄税務署長に提出することとされている。この場合の「やむを得ない事情」とは、次のような場合をいい、単に届出書の提出を忘れていた場合は「やむを得ない事情」に当たらない。
(1)  震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災または火災その他人的災害で自己の責任によらないものに基因する災害が発生したことにより、届出書の提出ができない状態になったと認められる場合
(2) (1)の災害に準ずるような状況または、その事業者の責めに帰することができない状態にあることにより、届出書の提出ができない状態になったと認められる場合
(3) その課税期間の末日前おおむね1月以内に相続があったことにより、その相続に係る相続人が新たに課税事業者選択届出書などを提出できる個人事業者となった場合
(4) 以上に準ずる事情がある場合で、税務署長がやむを得ないと認めた場合
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.05.24
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