>  今週のトピックス >  No.2043
「脂肪肝」告知における留意点
●  「脂肪肝」とは
  人間ドックで、「脂肪肝」を指摘されたことがある方はいらっしゃいますか? 腹部超音波検査で肝臓全体が白くきらきらと輝いて見えるのが脂肪肝です(輝いているのは脂肪!)。文字通り肝細胞の中に脂肪(中性脂肪)が多量に蓄積した状態−いわゆるフォアグラ−です。ちなみにレストランでおいしくいたただくフォアグラはガチョウの脂肪肝です。
●  原因と症状
  脂肪肝の原因の多くは過度の飲酒と過食です。飲酒によるアルコール性脂肪肝は放置すると肝炎や肝硬変に進行することもあるので要注意です。
  ところが最近の傾向としては、過食によるものが増えており、メタボリック・シンドローム(肥満、高血圧症、内臓脂肪蓄積などが重なりあった状態)も伴って、脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)が見られるケースが増加しています。
  脂肪肝には特に自覚症状がないため、ほとんどが健康診断で発見されます。初期には自覚症状はなくても、長期間のうちに進行した場合には「疲れやすい、食欲がない、体がだるい」といった症状が出てきます。
●  NASHとは?
  脂肪肝の多くは、禁減酒や体重減量、食事内容の見直しなどによって改善が期待できますが、最近注目されているのが、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)です。これは、飲酒を原因としない脂肪肝(過食などによる脂肪肝)の中に、数年のうちに肝細胞の壊死や炎症などを生じるもので、中には肝硬変や肝がんに至ることもあります。
  メタボリック・シンドロームの増加が懸念されている現在、肝障害の中でこのNASHの割合はますます高くなるだろうと予想されています。
  日本人はもともと「節約遺伝子」と呼ばれる、脂肪を蓄積しやすい遺伝子を持っているとされており(肥満になりやすい)、脂肪肝や派生する疾患には注意が必要です。
●  ご契約をいただく際には
  脂肪肝の告知をいただいた場合でも、主に肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)の数値に問題がなければ引受査定上は特に問題ない場合が多いです。
  一方、肝機能の数値に異常があったり、通院して治療を行っている場合は、保険料料増しなどの条件が付いたり、お引受できないことがあります。医療保険も同様ですが、部位不担保とする会社もあります。
  また、脂肪肝はメタボリック・シンドロームの部分症状ともいえる状態ですので、その他、脂質(コレステロール、中性脂肪)、肥満度にも問題がないことが重要です。お客さまから告知をいただく際にはこの点に注意し、もし数値が分かるようでしたらそれぞれご記入いただくとよいと思います。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.05.31
前のページにもどる
ページトップへ