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今年7月から施行される「改正障害者雇用促進法」のポイント
●  常用雇用労働者201人以上300人以下の一般事業主も障害者雇用納付金の対象に
  障害者雇用に関しては、一昔前に比べるとかなり進んでおり、企業側の認識も大きく変わってきている。それは、障害者雇用促進法の改正や社会全体が要請していることも理由の1つといえる。また自治体やハローワークの助成は、中小企業が障害者雇用を拡大し、職場に定着させるうえで大いに役立っている。
  さて、平成20年に成立した改正障害者雇用促進法の一部は平成21年4月1日から施行されているが、今年の7月には、常用雇用労働者201人以上300人以下の一般事業主についても障害者雇用納付金を対象とする法改正が施行されることになっている。この法改正のポイントとその後の影響、そして現在の障害者雇用状況についてまとめてみようと思う。
●  障害者雇用納付金とは?
  「障害者雇用納付金」とは、法律で定められた障害者雇用率の障害者を雇用することができない場合に、企業がその代わりにペナルティとして納付するお金のことをいう。
  障害者雇用率については、障害者雇用促進法で定められていて「常用雇用労働者数」が56人以上の一般事業主は、その「常用雇用労働者数」の1.8%以上の身体障害者または知的障害者を雇用しなければならないことになっている。
  障害者雇用率(1.8%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされている。これまでは、経過措置もありその納付の対象が301人以上の企業となっていたが、今年7月からは201人以上の企業と対象範囲が拡大される(なお、平成27年4月1日からは、101人以上の企業へ拡大することが決定している)。
  法律の改正については、知らなかったでは済まされない重要な事項なので、総務・人事担当者は経営陣を巻き込んでその対策や今後の長期にわたる雇用計画、会社のスタンスを明確にするためにも話し合っておく必要がある。
  今後は、申告の準備や予算取り、そして障害者雇用に向けての取り組みなど負担も多くなるが、社会的責任とコンプライアンス重視という姿勢を忘れないでほしい。
●  障害者の就職件数は、対前年比1.8%増加
  先日厚生労働省は、障害者雇用に関する気になるデータを発表した。それによると障害者全体の就職件数は対前年比1.8%増加しており、特に精神障害者およびその他の障害者について、その伸びが大きくなっており、今後も期待できそうだ。
  不況の影響を受け、雇用情勢が厳しい中、障害者の就職件数に関しては、ハローワークの活発な活動のおかげでさほど影響を受けなかったのは喜ばしい事実だ。これらの調査結果は、ハローワークの求人に限ってのことであるが、民間でも障害者専門の求人サイトが増えてきており、今後に期待したいところだ。いずれにしてもミスマッチ解消のための仕組みをどうするかが課題であり、障害者視点での支援を忘れないでほしい。
  改正障害者雇用促進法の施行に伴い、障害者をはじめて雇用する企業も出てくると思うが、それに伴い就業規則の整備、労働条件の確認、職場環境の改善、設備や備品への投資など今まで以上にやらなければいけないことも経済的負担も増えるが、積極的に取り組んでもらい、成功事例としてその障害者雇用のノウハウを全国に広めてもらいたい。
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.05.31
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