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高齢者住まい法改正で、高円賃の登録制度が変わる
●  高齢者の住まい確保の取り組みを強化
  高齢になると賃貸住宅への入居を断られるので、住むところがなくなる―そんな不安をなくし、高齢者が安心して地域で住み続けることができる社会を目指して、平成13年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が作られた。
  その法律の中で、「高齢者世帯の入居を拒まない賃貸住宅(高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃))」の登録および紹介制度が創設されていたが、平成21年5月の同法の改正により高円賃についても事前準備を経た上で、登録基準が設けられることになっていた。そして、高齢者円滑入居賃貸住宅制度に関する部分については今年(平成22年)5月に施行され、いよいよ新制度がスタートすることになった。
●  高齢者円滑入居賃貸住宅制度とは
  高齢者の入居を拒まない賃貸住宅を登録して、その情報を提供する制度である。登録情報は、都道府県・市町村の窓口およびそのホームページ、指定登録機関などで閲覧することができる。
  ここに登録できる住宅は、大きく分けて次の3種類である(図参照)。
(1) 高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)  …高齢者の入居を拒まない賃貸住宅 ← 改正
(2) 高齢者専用賃貸住宅(高専賃) …専ら高齢者専用の住宅、詳細な情報提供
(3) 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃) …バリアフリーなど所定の条件を満たしたもの
  高齢者の入居を拒まない住宅のうち、(3)の条件を満たさないものは(1)か(2)、(2)の条件を満たさないものは(1)に分類されることになる。つまりこれまでは、単に「高齢者の入居を拒まない」という条件を満たせば(1)として登録できたが、今回の改正で、部屋の広さ(原則25u以上、台所等共有なら18u)や住宅の設備および賃貸の条件について、一定の基準が設けられることになった。
《高齢者住宅の概念図》
●  高齢化に対応できる住宅が増えることに期待
  高円賃制度以外は、すでに昨年8月に施行されているが、その改正ポイントは、次のとおりである。
  ・住宅施策と福祉施策が一体になった高齢者の住まいの確保
    → 国交省所管だった同法律を国交省と厚生労働省共同所管の法律に改める
  ・ケア付き高優賃の供給促進
    → 国の補助制度や税制優遇措置の拡充
  ・持ち家のバリアフリー化の促進
    → 優遇税制の拡充など
  ・デイサービスセンターなどへの補助やモデル事業の実施
    → 高優賃や公共賃貸住宅団地と一緒に整備される高齢者生活支援施設に国の補助
  猛烈なスピードで高齢化や高齢者のみ世帯の増加が進んでいる日本は、高齢者の住まい対策は待ったなしの状態である。法律や制度の整備は進みつつあるので、それに現場がどう対応していけるか。今後注目していきたい分野である。
参考)
高齢者住宅財団HP:
http://www.koujuuzai.or.jp/
国土交通省HP:
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000002.html

山田静江 CFP®
2010.06.07
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