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「ソケイヘルニア」告知における留意点
●  「ソケイヘルニア」とは
  いわゆる「脱腸」のことで、太ももの付け根の鼠径(ソケイ)部から腹膜と腸が飛び出てくる病気です。ソケイ部に触ると柔らかい「こぶ」のような膨らみがあらわれます。人間の体でソケイ部は比較的弱い部分で、子どもでは筋力が弱いため、また成人では加齢と共に筋膜が弱くなるために起こります。咳が出る病気(慢性閉塞性肺疾患など)や、重いものを持ったり、便秘や肥満なども原因となります。
  ソケイヘルニアには大きく分けて3つあります。下記の外または内ソケイヘルニアと大腿ヘルニアは、部位が異なります。
   外ソケイヘルニア
子どもや若年者に多く、精巣が筋肉のすき間を通って体の外に出てくることもあります。
   内ソケイヘルニア
高齢者に多く、加齢によりソケイ部の筋膜が弱くなり腸が飛び出てきます。
   大腿ヘルニア
女性に多く、気張ることが多い便秘気味の人や妊婦に起こります。
●  治療
  症状が軽い場合には用手的に、あるいはヘルニアバンド(脱腸帯)等で修復できます。ソケイヘルニアは自然治癒しないため手術以外に根治法はありませんが、緊急性はないため、一般的には都合のいい日に局所麻酔で日帰り程度の入院で手術治療します。乳幼児では(術中に動くため)腰椎麻酔や全身麻酔下で手術されることがあり入院期間が少し長くなります。
  しかし、長期間放置して症状が悪化し、かん頓(脱出したヘルニアの内容物が元に戻らなくなる症状)といわれる状態になると、膨らみが硬くなり非常に激しい痛みを覚えます。かん頓を起こして6〜8時間で腸管が壊死を起こすことがあります。この場合は急性腹症として緊急手術・腸管切除するので、2週間程の入院が必要になります。
●  ご契約をいただく際には
  入院日数が5日以内で、術後1カ月以上経過していれば無条件での引受を考慮できます。長期入院の告知をいただいた場合は、かん頓による腸管切除であれば引受査定上問題ありませんので、悪性疾患を否定するためにも主治医の診断書を取り付けるとよいと思います。
  ソケイヘルニアの現症で放置しているものは、必ず手術するため医療保険に関しては部位不担保での取扱になると思われます。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.06.14
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