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国税に関する手続におけるe-Taxの普及状況
  e-Taxとは、確定申告などの国税に関する手続において、インターネットを利用するシステムであり、国税庁では普及の拡大に向けた取組を続けている。少し前のものであるが、平成21年度のe-Tax利用状況が国税庁から発表されているので見てみたい。
●  利用件数(重点15手続)は前年対比116%と順調に増加
  平成21年度における利用件数(重点15手続)は1,658万件(前年比116%)と順調な増加を見せていると報告されている。具体的な手続では、所得税申告784万件(前年対比128%)、法人税申告127万件(同130%)、消費税申告(個人)55万件(同124%)、消費税申告(法人)145万件(同130%)、法定調書137万件(同127%)となっており、いずれも増加している。また、e-Taxの利用率(重点15手続)は45.4%(前年度36.6%)とこちらも8.8ポイント増加であり、着実に浸透しているといえるだろう。
●  e-Taxの利点および問題点
  e-Taxの最大の利点は、インターネットを利用することで税務署の窓口に行かず自宅やオフィスのパソコンから申告・納税できることであろう。システムの受付時間内であれば税務署の閉庁時間であっても申告者の都合のよい時間に申告ができ、時間や交通費の節約にもなる。また、受付をした側の事務処理のスピードアップにもなり、例えば還付申告などは従来よりも早く還付することが可能となっている。さらに、申告の際に必要となる第三者が作成する書類については、その記載内容を入力して送信することにより、書類の提出等の省略が認められているものもあり(源泉徴収票、医療費の領収証、社会保険料控除の証明書、生命保険料控除の証明書など)、手続の簡素化も併せて推進されている(ただし、確定申告期限から3年間は、添付書類現物の提出または提示を求められることがある)。
  一方、今後も取り組むべき課題として、個人情報の保護、暗証番号などの不正使用によるなりすましの防止、第三者による不正利用など、インターネット取引にはつきものともいえる事項が挙げられる。
●  e-Taxでの所得税の確定申告により、一回に限り税額控除の適用あり
  平成20年4月以降の取扱として、電子証明書を取得した個人が所得税の納税申告書の提出をe-Taxにより行った場合、一定の要件を満たすことによってその年分の所得税額から5,000円(ただし、その年の所得税額を限度)が控除される。対象となるのは平成19年から平成22年分の所得税で、この控除制度を活用できるのは一度だけであるが、e-Tax活用のひとつのきっかけとして十分に効果的と思われる。
  社会全体の動きとして、業務の効率化やサービス内容のアップに向けた電子取引が推進されていく中、e-Taxを活用した手続が今後ますます浸透し、広がっていくと予想される。
参考資料:国税庁「平成21年度におけるe-Taxの利用状況について(概要)」
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/21pressrelease.pdf

2010.07.05
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