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国民健康保険「短期被保険者証」−7月から交付対象が拡大−
●  「短期被保険者証」交付…高校生世代以下の子どもへ拡大
  世帯主が、特別な事情がなく国民健康保険料(税)を1年以上にわたって滞納した場合には、保険証(国民健康保険被保険者証)に替わり、被保険者資格証明書が交付され、医療機関にかかったときは、世帯主もその家族もいったん医療機関の窓口で医療費の全額を負担しなければならなくなります。ただし、中学生以下の子どもについてだけは、世帯主の滞納にかかわらず、通常の自己負担で安心して医療機関にかかれるよう、平成21年4月から「短期被保険者証」が交付されています。平成22年7月1日からは、「短期被保険者証」交付の対象が「高校生世代以下の子ども」に拡大されました。
●  交付対象拡大の背景
  前述のとおり、被保険者資格証明書が交付された世帯では、世帯主だけでなくその家族も医療機関にかかったときは、いったん医療機関の窓口で医療費の全額を負担しなければなりません。その際、子ども自身では、保険料や医療費を負担することができないため、子どもが病気やけがをしても医療機関への受診をためらってしまうことが懸念されます。
  厚生労働省が制度改正前の平成20年に行った調査によれば、被保険者資格証明書が交付された世帯に属する中学生以下の子どもの人数は32,903人に上りました。こうした実情を踏まえ、世帯の状況にかかわらず子どもの医療の安心を守るため、平成21年4月からは、被保険者資格証明書が交付された世帯であっても、中学生以下の子どもについては6カ月有効の「短期被保険者証」を交付し、2〜3割の窓口負担で受診できるように制度が改正されました。その後、同じような状況にある高校生世代の子どもの人数を調査したところ、平成21年で10,647人であることが明らかとなったため、平成22年7月からは、さらに対象を拡大し、高校生世代の子どもにも6カ月有効の「短期被保険者証」が交付されることになりました。
●  保険料(税)の納付が困難な場合…お住まいの市区町村へ相談を
  市区町村の窓口では、被保険者資格証明書を交付する前の段階で、保険料(税)の滞納が続いている世帯に対して、保険料(税)納付に関する相談や支援を行っています。低所得である等の事情で納付が難しいという場合には、保険料(税)の減免・免除などの制度を紹介しています。
(特定社会保険労務士 野上幸彦)
2010.07.20
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