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埼玉県は男女不平等県?
  東北大学大学院経済学研究科の吉田浩教授らのグル―プが、「都道府県別の男女平等度指標」を発表した。
●  トップは鳥取、2位は同点で長野、京都、香川
  調査はノルウェー統計局の男女平等指標を使って行われた。調査項目は、@幼稚園・保育園の普及率、A高等教育(短大卒以上)の割合、B人口比、C労働参加率、D給与、E県会議員の割合の6項目で、A〜Eは男女比を比較している。公表されている資料では、それぞれを1〜4の4ランクで評価し、得点の高い順に男女平等度が高いとされている。
  トップの鳥取はすべての項目で最低ランクの1がないことに加えて、女性の労働参加率や給与額、女性議員の数などで最高ランクの4と評価されていることから、総合でも高得点となっている。
  2位の3府県はそれぞれに特徴がある。長野は教育関係についてはそれほど高いランクではないが、給与水準や労働参加率がランク4である。逆に京都は、給与水準や労働参加率は低いものの、教育関係の水準が高い。両府県ともに、女性議員の割合はランク4である。そして香川は、幼稚園・保育園の普及率だけがランク4だが、それ以外の項目のほとんどがランク3であるため平均点が高くなっている。
●  ワースト3は、埼玉、北海道、鹿児島
  最下位を含めランキングが低い都道府県に共通しているのは、幼稚園・保育園の普及率が低いことと、女性の労働参加率が低いことだろう。給与水準については、女性の給与水準が低い都道府県でも、相対給与(男性の給与水準に対する女性の給与水準)の項目のランクは高くなっているケースもある。つまり女性の給与が低くても、男性の給与も低ければ男女平等という結果が出るというのは興味深い。
  ところで、ワースト1は何と、私が現在住んでいる埼玉県であった。男女平等度は決して高いとは言えないかもしれないが、最下位ということはないだろうと、指標を細かく見てみたところ、15〜64歳の人口に占める女性の比率が低いという点が他にも影響しているのではないか、と読みとれた。例えば、「女性の高等教育卒業率」は高いものの、女性の比率が低いため、「高等教育を受けた女性の男性に対する割合」が低くなってしまう。
  人口性比(15〜64歳の人口に占める女性の割合)が低い都道府県は、ほとんど上位には入っていないが、そもそも女性の比率が低いことが男女不平等につながる、という指標の考え方は正しいのであろうか?
  また、新聞記事のコメントの中に、公立高校の男女別学が原因の一つではないかという意見があった。その理由として男女別学で教育を受けた人が県庁や県教育委員の指導層になることが挙げられていたが、主要官庁に多くの人材を輩出している私立の「難関校」はほとんどが男女別学である。公立高校だけを責めても何の意味もないのではないか。
  男女平等とは何か、何を是正すればいいのか、あらためて考えされられた調査であった。
参考:   @朝日新聞 2010年7月9日付け朝刊
    A都道府県別 男女平等度指標
    http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/20100409.pdf

(山田静江 CFP®)
2010.07.20
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