>  今週のトピックス >  No.2078
9割のFX投資家が金融所得課税の一体化を望む
●  7割超が一体化は市場に良い影響を与えると回答
  矢野経済研究所が、現在FX取引を行っている全国の男女を対象に実施した「FX税制に関する投資家の意識調査」結果(有効回答数7,748人)によると、金融所得課税の一体化の是非については、「すべての金融商品で一体化すべき」との回答が47.6%、「金融商品ごとに異なるのは仕方がないが、FXのように同じ金融商品では一体化すべき」が42.2%と、何らかの一体化が必要と回答したFX投資家は合計で89.9%と9割にのぼった。
  金融商品の税制一体化の時期については、「直ちに導入すべき」が44.1%、「可能な限り早く導入すべき」が42.9%となり、「早期に一体化を導入すべき」との意見は合計87.0%だった。
  また、金融所得課税の一体化がわが国の金融市場に与える度合いについては、「大変良い影響」が40.9%、「ある程度良い影響」が33.3%と、良い影響を与えると回答したFX投資家は合計74.2%だった。
●  8割弱が課税体系の違いを認知、不公平感を持つ
  ところで、FX(外国為替証拠金)取引は取引所取引と店頭取引に大別される。FX取引による利益の税務上の取扱いは、取引所取引は申告分離課税として所得の大小にかかわらず一律20%の税率となり、店頭取引は雑所得として総合課税となり、所得とFXの利益の合算額で税率が決まる。今年の8月からはレバレッジが規制されるため、両者の商品性にはほとんど違いがなくなるが、税制は全く異なっている。
  このような取引所取引と店頭取引とで課税体系が異なることを「知っている」との回答は78.0%だった。しかし、店頭取引のみで取引するFX投資家(全体の64.9%)の認知度が83.5%であるのに対し、取引所取引のみのFX投資家(同18.2%)は44.9%と、店頭取引の半数程度の認知度しかなく、認知度に大きな差異があることが分かった。
  一方、取引所取引のFX投資家の中には、税制が優遇されていることを「全く知らない」投資家が34.7%もいた。
  FX取引をする場所が異なるだけで、税制が異なることが「明らかに公平ではない」と不公平感を抱いているのは、店頭取引のみで取引するFX投資家では81.6%にのぼり、「やや公平ではない」の11.2%を合わせると9割強を占める。税制が優遇されている取引所取引のFX投資家でも、「明らかに公平ではない」との回答が61.5%(「やや公平でない」(11.9%)も含めると73.4%)もあった。
●  確定申告が難しいと感じた投資家は5割強
  また、取引所取引における申告分離課税の魅力(複数回答)については、上位に挙げられたのは「損失額の繰越し」で74.6%、次いで「税率」が67.1%、「他の取引所商品との損益通算」も48.6%が支持している。
  一方、店頭取引で取引しているFX投資家は、確定申告が「難しかった」(21.9%)、「やや難しかった」(29.9%)を合わせた「難しかった」とする回答は51.8%、対して、「それほど難しくなかった」(35.2%)、「簡単だった」(13.1%)との回答は合計で48.3%と、ほぼ半々という結果だった。
参考資料 : http://www.yano.co.jp/press/pdf/629.pdf

(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.07.26
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