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日本各地に粒子線治療施設が広がるか
●  重粒子線がん治療について
  「がん」の治療法は、「手術療法」「薬物療法」「放射線療法(3大基本療法)」に大別される。
  放射線療法は手術療法と同じく、「がん」を局所的に治療する手段で、その放射線療法も通常の放射線治療(エックス線、ガンマ線など)と粒子線治療(重粒子線、陽子線)に分類され、重粒子線治療は粒子線治療の1つである。
  重粒子線治療は、従来の放射線治療に比べて病巣に集中して照射でき、周囲の正常な細胞への影響を極力抑えられるという特長があり、また、細胞を殺傷する能力も強いことから、体への負担が少なく、治療日数を減らすことが可能である。
  平成15年11月に先進医療の適用を受けたが、高額な建設費用がネックで、放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター病院(千葉県)と兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県)の2施設に限られていた。
●  群馬大学に国内3カ所目となる重粒子線治療施設
  群馬大学医学部附属病院(群馬大学重粒子線医学センター)では、平成22年3月に重粒子線治療装置が厚生労働省から医療機器として承認され「重粒子線治療」を開始。前立腺がんの治療を行っていたが、12例の症例をもとに先進医療の届け出を行い、6月1日からは国の認定を受け先進医療として治療を開始した。
  今後、肺がん(T期)や肝細胞がんなどに、治療対象部位を広げていく予定とのことである。また、先進医療に係る技術料は314万円と決まった。
  この重粒子線治療施設は、群馬県と群馬大学が共同で整備を進めてきたもので、国内では3カ所目、大学に設置されるものとしては国内で初めての施設となった。
●  各地で新設計画も、高額となる自己負担
  福井県や鹿児島県では建設が進み、佐賀や長崎、広島、神奈川、愛知県などでも治療施設導入の計画があるなど、各地の大学、地方自治体、民間などで検討が進められている。
  先進医療は保険診療と併用でき、診察や検査、入院に係る経費ついては健康保険等が適用されるが、約300万円の先進医療の技術料については全額患者の自己負担となる。
  これまで以上に粒子線治療を受ける機会が増加することになれば、先進医療の特約などで、高額となる先進医療の技術料に備えておくことが必要となるだろう。
2010.08.02
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