>  今週のトピックス >  No.2083
「胃かいよう」告知における留意点
  「胃かいよう」は、よく耳にする病気ではないかと思います。ひと昔前までは、胃を摘出することもありましたが、現在ではほとんどが薬による治療となりました。
●  中高年以降の男性に多い
  胃かいようは、胃から分泌される胃酸(攻撃因子)と胃壁を守る粘液や粘膜血流、胃粘膜の増殖因子など防御機構とのバランスが崩れ、胃壁に潰瘍や穴ができて痛みが生じたり、出血したりする病気です。十二指腸潰瘍は若年者に多いのが特徴ですが、胃潰瘍は中高年以降に多く、男女比では男性に多くみられます。
●  原因
  ストレスやピロリ菌(胃かいようの9割、十二指腸かいようの10割近くで感染が見られます)、薬剤性、不規則な食生活(暴飲暴食・早食い等)、嗜好によるもの(喫煙・飲酒・コーヒー・刺激の強いもの)などが原因となっています。つまり、働き盛りの男性が危険であるといえるでしょう。
●  合併症
・出血: 内視鏡的止血療法(クリッピング)により多くは止血できます。
・穿孔: 胃壁に穴があく状態です。腹腔内に胃の内容物が出て腹膜炎を起こすこともあり、この場合は緊急手術の適用となります。
・狭窄: 繰り返すことで瘢痕化が進み、狭窄を起こします。
●  治療法
1.  薬物療法
胃酸分泌を抑える薬を服用します。
2.  ピロリ菌除去
3.  内視鏡的治療
出血がある場合に病変部を加熱して凝固止血します。大量出血の場合は、輸血や外科手術が必要です。
4.  外科的治療
大量出血や内視鏡での止血が困難な例では、緊急に胃切除術を行います。また穿孔を起こしている場合には、腹腔鏡で穿孔部閉鎖術を行うこともあります。狭窄がひどい場合は、待機的(緊急ではなく時機をみて)に外科手術が行われます。
5.  その他
原因となっているストレスや食事、嗜好、原因薬剤に注意し生活習慣を改善します。
●  予後
  重症度にもよりますが、多くは半年以内に治癒します。しかし再発率も高いので、治癒後の長期の維持療法も重要です。
●  ご契約をいただく際には
  ひと昔前までは、胃かいようで開腹手術による胃切除術などが行われていましたが、現在の日本では手術適用の場合でも内視鏡による手術がほとんどで、開腹手術となるのは胃穿孔や大量出血などの場合に限られます。
  最近では早期胃がんについても、日帰り・内視鏡の手術で済むようになったため、引受査定においては鑑別が重要な鍵となります。よって、お客さまから告知をいただく際は、術後の経過についての詳細告知をされるとよいでしょう。再発を繰り返している場合は、引受査定が厳しくなるかもしれません。
  胃かいようで開腹手術を受けた場合は、その理由を記入し(胃穿孔など)胃がんを否定するために、診断書(病理組織診断の記載があるもの)を添付するとよいでしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.08.09
前のページにもどる
ページトップへ