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収入と自由時間、増やしたいのは?
「自由時間」を選んだ人は約3割にとどまる
●  国民の生活に関する意識を把握するために不可欠な調査
  内閣府は、このたび「国民生活に関する世論調査」の調査結果を発表した。この調査は、現在の生活や今後の生活についての意識、家族・家庭についての意識など、国民の生活に関する意識や要望を種々の観点でとらえ、広く行政一般の基礎資料とすることを目的としている。
  調査対象は全国の20歳以上の人で、調査員が個別に面接しているためデータとしては参考になるといえるであろう。ただし、調査時期は平成21年6月で1年以上前に実施されている点や、国民の生活観などは景気や政治の動きによって、感じ方が変化することも頭に入れておきたいところだ。
●  約3割の人が日常の生活でゆとりがないと感じている
  調査結果によると、日常生活の中で休みなど時間のゆとりがあるかという質問に対し、「ゆとりがある(「かなりゆとりがある」と「ある程度ゆとりがある」を合算)」と回答した人の割合は66.6%、「ゆとりがない(「あまりゆとりがない」と「ほとんどゆとりがない」を合算)」と回答した人の割合は33.2%となっている。「ゆとりがない」と回答した人の職業を見てみると、「販売・サービス・保安職」(46.2%)、「管理・専門技術・事務職」(43.6%)の順で多くなっている。
  次に、現在どのようなことをして自分の自由になる時間を過ごしているかを聞いたところ、「ラジオを聞いたり、テレビを見たりする」を挙げた人の割合が57.8%と最も高く、以下「趣味を楽しむ」(45.0%)、「のんびり休養する」(39.7%)、「新聞・雑誌などを読んだりする」(39.4%)、「家族との団らんを楽しむ」(37.3%)などの順となっている。年齢別に見ると、「ラジオを聞いたり、テレビを見たりする」を挙げた人の割合は60歳代・70歳以上で、「趣味を楽しむ」を挙げた人の割合は20歳代・60歳代で、「のんびり休養する」を挙げた人の割合は20歳代・40歳代で、「新聞・雑誌などを読んだりする」を挙げた人の割合は50歳代から70歳以上で、「家族との団らんを楽しむ」を挙げた人の割合は30歳代・40歳代でそれぞれ高くなっており、年齢別に自由時間の過ごし方も大きく違うことが分かった。
●  自由時間よりも収入を増やしたいと思う人は約5割
  約3割の人がゆとりがないと回答している一方、本音では収入を増やしたいと思っている人も多いのではないだろうか。調査結果によると、収入と自由時間のうち、どちらをより増やしたいかという質問に対し、「自由時間をもっと増やしたい」と答えた人の割合は全体の約3割。一方で「収入をもっと増やしたい」と答えた人の割合が約半数となっている。なお、「どちらともいえない」と答えた人の割合は16.3%となっている。「自由時間をもっと増やしたい」と感じている人を職業別にみると、「管理・専門技術・事務職」(43.0%)、「農林漁業職」(42.3%)の順で多くなっている。
  自由時間よりも収入を増やしたい人が約半数いるということは、経済不況が続いている中でよく理解できる。また基本給がそれほど高くないため、残業代をある程度増やさないと生活が厳しいからという理由で残業している人も意外と多い。
  実際に、残業代がある程度支払われるということで、マンション購入のローンを組んでいる人も少なからずいて、自由時間が欲しいとはいっても現実には収入の方が大事と考えているようだ。
  収入を増やしたいという人は、残業時間を増やすだけではなく、夜間や休日に副業としてアルバイトに従事する人もいるようである。各企業は、このような従業員の意識や行動の実態をふまえたうえで、しっかりとしたマネジメントをしていくことが、より一層求められるのではないだろうか。
参考:内閣府「国民生活に関する世論調査(平成21年6月)」
http://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-life/index.html

(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.08.09
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