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退職継続再雇用者の標準報酬月額の決定方法を見直し
  平成22年9月から、年金を受給できる権利のある60歳〜64歳までの方が、いったん退職後に継続して再雇用(1日も空くことなく同じ会社に再雇用)された場合、再雇用された月から再雇用後の給与額に応じた標準報酬月額に決定できることになりました。
●  標準報酬月額とは
  厚生年金では、納める保険料額や保険給付額を決定する際に、計算の元となるものを月給などの金額そのものではなく、一定の幅で区分した「標準報酬月額」というものを使用しています。例えば、月給295,000円なら標準報酬月額300,000円、月給428,000円なら標準報酬月額440,000円となります。なお、健康保険でも標準報酬月額を使用しており、上限額以外の仕組みは厚生年金と同じです。
●  定年以外の退職者も取り扱い対象へ
  これまで、厚生年金に加入している会社員が退職後継続再雇用され、これに伴い給与額に大きな変動 が生じた場合でも、原則として引き続き厚生年金に加入することから、給与額の変更後4カ月目に標準報酬月額の改定を行っていました。ただし、年金を受給できる権利のある60歳〜64歳の方が定年退職後、継続して再雇用された場合に限っては、事業主との使用関係がいったん中断したものとみなし、再雇用された月から再雇用後の給与額に応じて標準報酬月額を決定していました。   このたび、高齢者の継続雇用をさらに支援していくため、この取り扱いの対象を定年退職の場合だけでなく、年金受給権のある60歳〜64歳までの方が退職後継続雇用される全てのケースに拡大することになりました。
●  具体的な事例
  63歳の年金受給権者Aさん(月給50万円)の場合…
  Aさんは、8月31日に定年を迎える前に会社を退職し、9月1日からは同じ会社で嘱託として再雇用されることになりました。再雇用後の月給は20万円です。

  (従来の取り扱い)→ 標準報酬月額は再雇用後4カ月目に改定
   
9月 10月 11月 12月
標準報酬月額 50万円 50万円 50万円 20万円

  (平成22年9月1日より)→ 標準報酬月額は再雇用後の最初の月に改定
   
9月 10月 11月 12月
標準報酬月額 20万円 20万円 20万円 20万円
  また、このケースでは約14万円(Aさん負担額:約7万円)の保険料負担が軽減されることになります。
  今回の取り扱い拡大は、以前から待ち望まれていたものであり、適正な保険料額負担という面で会社・再雇用者双方にとって大きな見直しと言えます。
(特定社会保険労務士 野上幸彦)
2010.08.30
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