>  今週のトピックス >  No.2102
法人実効税率の引下げなど経産省が改正要望
●  財源確保に留意し、法人税率を5%引下げ
  経済産業省はこのほど2011年度税制改正に関する要望をまとめ公表した。経済成長及び雇用確保を実現するための産業競争力の強化の観点から、
(1)  法人実効税率の引下げ
(2)  研究開発投資の充実のため、研究開発促進税制の税額控除限度額の引上げ(20%→30%)措置の維持
(3)  日本のアジア拠点化のため、他のアジア諸国に比肩しうる税制優遇制度を創設
(4)  ナフサや石炭の原料用途免税等の恒久化
などを盛り込んだ。
  法人実効税率の引下げでは、わが国の立地競争力を高めるため、国際的水準を目指して主要国並みに段階的に引き下げるべく、法人税率を5%引き下げ、その際、課税ベースの拡大を含め、財源確保に留意するとしている。
  同省では、EU15カ国ではこの10年間で表面実効税率を10%程度引き下げても、法人設立の増加等により、名目GDPに占める法人税収のウエートは増加傾向にあると指摘している。
●  中小企業に対する軽減税率の引下げも要望
  また、地域の経済・雇用を支える中小企業の活性化の観点から、
(1)  財源確保と合わせ、中小企業に対する軽減税率の引下げ
(2)  中小企業等基盤強化税制(中小卸売、小売及びサービス業、情報基盤等)を一部制度を見直した上で延長
(3)  産業集積の再生に向けた市区町村向け高度化融資の創設に伴う税制措置の整備
(4)  企業立地促進法に基づく同意基本計画で定められた集積区域における集積産業用資産の特別償却制度の延長
などを求めている。
  中小企業に対する軽減税率は本則22%だが、2009年度税制改正において、2009年4月1日から2011年3月31日までの2年間の時限的な措置として、18%への引下げが行われている。
  また、中小企業等基盤強化税制は、中小企業の積極的な事業活動や新たな事業展開を促進するため、経営革新計画(新たな事業活動を行うことにより、付加価値額の向上等を目標とする計画)の承認を受けた中小企業者等が行う設備投資の取得価格に対して特別償却(初年度30%)または税額控除(7%)を適用する措置の適用期限の延長(2年間)を図る。
●  税制のグリーン化や化石燃料課税の強化
  そのほか、成長の原動力たるグリーン・イノベーションの推進の観点から、税制のグリーン化や地球温暖化対策のための化石燃料課税の強化の検討も盛り込まれた。
  税制のグリーン化では、CO2排出量の削減を目的とした裾野の広い高効率な省エネ設備や再生可能エネルギー設備に重点化したグリーン投資減税を導入することや、再生可能エネルギー利用設備の加速度的普及を図るため、固定資産税の課税標準額を軽減する対象設備の拡充を求めている。
  化石燃料課税の強化の検討では、新成長戦略、エネルギー基本計画実現のためには、今後ともエネルギー起源CO2排出抑制に資する施策(中小企業を始めとした産業界の省エネ対策等)を中長期的に強化することが不可欠として、こうした施策への追加的な財政需要に対応するための化石燃料課税(石油石炭税)の強化の検討を要望したわけだ。
経済産業省要望の概要は↓
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/2011/doc04-2.pdf

(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.09.06
前のページにもどる
ページトップへ