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国保保険料の料率変更へ
  自営業者などが加入する国民健康保険(国保)の保険料が変更される見込みだ。国保は、後述するとおり所得に応じて保険料が高くなるしくみであるが、現在73万円(年間:医療分+後期高齢者支援分63万円+介護分10万円)の上限が、77万円(医療分65万円+介護分12万円)に引き上げられる。また、上限に達するまでの保険料上昇カーブも緩やかになる予定で、そうなれば中所得層の負担が軽減されるだろう。
●  国保保険料の計算方法
  国民健康保険は自治体が運営主体であり、保険料の計算方法は自治体ごとに多少異なっている。昨年6月1日付けの「トピックス-No.1849」でも取り上げたが、ここでもう一度計算方法をおさらいしてみよう。
  国保保険料は、「医療分」と「後期高齢者支援分」「介護分(40歳以上)」で成り立っており、40歳未満では介護分は徴収されない。これらの区分ごとに、下記の要素で保険料を計算し合計する。
    (1)世帯ごとの「平等割(世帯割)」
    (2)被保険者1人あたりの「均等割」
    (3)被保険者の所得や住民税に応じた「所得割」
    (4)固定資産税基準の「資産割」
  以上4つの要素で計算された保険料の合計額が、世帯主に国民健康保険料(保険税という自治体もあり)として請求される。均等割と所得割のみの2要素を用いる自治体もあれば、資産割を除いた3要素の自治体もある。
●  中所得者層には有利
  前述のように算出される国保保険料だが、保険料の上限は現在、医療分、後期高齢者支援分、介護分合計で73万円となっている。世帯の年間所得が760万円くらいで上限額に達してしまうため、実は高額所得者層にはやや有利なしくみである。今回の変更では、上限が77万円に引き上げられるとともに、上限に達する所得水準も800万円程度になるように料率が調整される。これにより、年収300万円から780万円程度の中間所得層の負担が緩やかになる予定だ。
  団塊の世代の定年退職もあり、今後国民健康保険に加入する人は増えるはずであるが、収入が限られる年金生活者にとって社会保険料の負担は大きい。今回の変更で少しでも負担が減れば大いに助かるだろう。
参考:日本経済新聞 2010年9月20日付け朝刊

(山田静江 CFP®)
2010.10.04
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