>  今週のトピックス >  No.2114
依然として厳しい若年層の就業状況
●  若年層の完全失業率は過去最高
  去る8月26日に総務省統計局から発表された「労働力調査ミニトピックス 5」によると、若年層(15〜24歳)の6月の完全失業率が過去最高の11.1%(完全失業者数は約62万人)となった(これまでの最高は平成13年9月および15年3月の10.8%)。
  同時期における15歳以上全体の完全失業率は5.3%、若年層の完全失業率はその2倍以上の高い水準であり、この比較においても若者を取巻く雇用環境が依然として厳しいものであることがうかがわれる。
●  来年度採用の高校新卒者の選考が解禁
  このような情勢の中、来春卒業予定の高校生に対する企業の採用活動が9月16日に解禁となり、全国各地で採用試験が始まった。厚生労働省は、7月末現在の高校生の有効求人倍率を0.67倍と発表したが、4年ぶりに1倍を割った前年同期よりもさらに0.04ポイント低下という厳しい状況でのスタートとなっている。
  平成21年度新卒者の最終的な状況(平成22年3月末現在)は、就職内定率93.9%(前年同期マイナス1.7ポイント)で過去7番目に低い水準、求人倍率は1.29倍とこちらも前年同期比でマイナス0.52ポイントであったが、今年度はさらに低い水準にとどまる可能性も大いに考えられる。
●  大学等卒業予定者の就職状況にも厳しさが
  一方、平成21年度大学等卒業予定者の就職状況については、すでに厚生労働省から5月21日付で「平成21年度大学等卒業予定者の就職状況調査(平成22年4月1日現在)」にて以下のように発表されている。
        
 区 分   :就職率   対前年   備考、その他 
大 学 91.8% ▲3.9ポイント    過去最低は91.1%(平成11年度)
短期大学 88.4% ▲6.1ポイント    女子学生のみ
高等専門学校 99.5%  0.5ポイント    男子学生のみ
専修学校 87.4% ▲4.4ポイント    専門課程
  大学卒業予定者の就職率については過去最低であった平成11年度の91.1%に迫るほどの低い水準であり、厳しいとされる昨今の状況下でも特に厳しかったと言えそうだ。今年度の卒業予定者の動向も気になるところだが、例年通りであれば10月1日現在の状況が年内に発表されるので、その内容にも注目してみたい。
●  関係各省庁等でも支援体制を確立
  厚生労働省では、大学・短大・高専・専修学校(専門学校)等の学生や既卒者を対象に、就職に関する相談窓口を各都道府県に1か所ずつ設置している。高校生については、高校とハローワークが連携して就職支援(職業講話、求人開拓、職業相談、職場定着支援など)を行っており、全国のハローワークに高校生の就職支援を担当する専門の職員や高卒就職ジョブサポーターを配置するなどの対応もとられている。また、文部科学省や経済産業省でもそれぞれ支援のための対策を行っており、若年層の就業状況改善に向けた取組が行われているが、これからのわが国の経済を支えていく人材が十分に力を発揮できる環境が一刻も早く整うことを心から望みたい。
参考資料:
総務省統計局「労働力調査ミニトピックス 5」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/tsushin/pdf/no05.pdf
厚生労働省「平成21年度高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成22年3月末現在)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006hau.html
「平成21年度大学等卒業予定者の就職状況調査(平成22年4月1日現在)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006hma.html
2010.10.04
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