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「加齢黄斑変性症」告知における留意点
  体が老化すると、それに伴い目も老化します。今回は、失明原因にもなる「加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)」という目の病気についてお話します。
  加齢黄斑変性症は、加齢と共に有病率が増加し、男性の方が女性の3倍発症しやすく、日本の患者数は年々増加傾向にあります。初期の症状は視力の低下・中心視野のゆがみや暗点ですが、進行すれば黄斑に出血を起こし網膜剥離のため広範囲の視力・視野の障害を生じます。
●  黄斑とは
  黄斑は、眼の網膜の中心部にあり、視細胞が集中する最も重要な部分です。ものを見たり、色の判別を行ったりする働きがあります。
  網膜の外側には栄養血管に富んだ脈絡膜(みゃくらくまく)が外周を包み込むようにあります。黄斑変性は、この脈絡膜からの異常な新生血管が原因で生じる「滲出型」と、黄斑自体が変性してくる「萎縮型(非滲出型)」、「特殊型(ポリープ様)」に分けられます。130ある難病疾患の一つです。
  症例の大部分は滲出型(ウエット型)で、各種治療法はありますが視力に関しての予後はよくありません。滲出型加齢黄斑変性症は、急激な視力低下を起こし失明の原因となります。
  萎縮型(ドライ型)の治療法はまだありませんが(臨床試験段階)、老化現象のため進行が穏やかで視力低下も軽度であることが多いです。
●  治療
  残念ながら、失った視力を完全に回復させ、後遺症を含め完治させる治療法は現在のところありません。ただし、治療で進行を止め、治療時点での視機能を保つことができます。まれに視力が回復する人もいます。治療内容は、新生血管が中心窩に達しているか否か等、度合いによって異なります。治療法には、
  ・薬物治療
  ・レーザー治療
  ・放射線療法 などがあります。
  現在、一般的な治療法はレーザー光凝固術で、レーザーで新生血管を直接凝固するものです。しかし、かえって網膜を傷つけ視力が低下することもあり、治療方法は確立されていないのが現状です。
●  ご契約をいただく際には
  お客さまから加齢黄斑変性症の告知があった場合には、下記の詳細を告知していただくとよいでしょう。詳細の告知がなければ加入できない可能性がより高くなります。
  ・治療開始期
  ・治療内容(手術の有無と手術の内容。薬であれば詳細)
    *治療内容で重症度がわかることがあります
  ・現在の視力
  ・滲出型か萎縮型か

  基本的に完治のない(一時的に進行を防ぐ程度)疾患で、将来失明の危険もありますが、重症度により加入できる可能性もあります。
  生命保険については、視力についての特別障害不担保等の適用があれば、適用のうえ加入できる可能性が、また医療保険については、同じく視力についての特別障害不担保等の適用があれば適用のうえ、同時に目の部位不担保全期間で加入できる可能性もあります。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.10.12
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