> 今週のトピックス > No.2122 |
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扶養控除廃止で41制度に負担増の影響〜政府税調 | ||||||||
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![]() ● 33制度が税額等に応じて料金を設定
政府税制調査会は10月6日、会合を開き、2011年度税制改正に向けた議論をスタートさせた。その席上で、控除廃止の影響に係るプロジェクトチーム(PT)がとりまとめた報告書が公表された。
所得税・個人住民税の扶養控除については、2010年度税制改正において、年少扶養控除及び16〜18歳までの特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されたが、この見直しに伴い国民健康保険料や保育料など41制度で負担増の影響が出ることが明らかになった。 報告書によると、41制度のうち、33制度については、例えば、保育所の保育料のように、所得税額に応じて保育料を決定するなど税額等に応じて料金等を設定している制度である。 現行の保育所の保育料は、所得税額が4万円未満の場合は月額3万円、所得税額が4万円以上10.3万円未満の場合は月額4.45万円と設定されているが、何ら対応を講じなければ、扶養控除の見直しにより、例えば、所得税額が3万円から4.9万円になったケースでは、保育料は3万円から4.45万円に上昇すると試算している。 ![]() ● 8制度は税法上の特定扶養親族等を有する者を優遇している制度
残りの8制度については、例えば、公営住宅の入居などに用いる基準収入の算定において、特定扶養親族を有する者は特定扶養親族一人当たり58万円(一般扶養親族の場合は38万円)を差し引くなど、税法上の特定扶養親族等を有する者を優遇している制度だ。
扶養控除の見直しにより、特定扶養親族は一般扶養親族として取り扱われるため、何ら対応を講じなければ、基準収入が上昇し、公営住宅の家賃などが上昇するケースも生じるという。 ![]() ● 「簡便な調整方式」を軸に対応策の検討を進める各府省
報告書では、これらへの対応案として、税額方式を改め、
の3方式を明示している。
その上で、(1)の方式については、所得控除等の見直しによる影響が発生しない仕組みとなるという意味では、将来的には、望ましい方式といえるが、同方式への移行時に個々の利用者についての負担変動が生じるため、慎重な準備等が必要な場合も考えられることから、同方式以外の方式についても検討が必要としている。 (2)の方式は、扶養控除の見直しによる影響をできるだけ遮断するという観点からは望ましい方式だが、扶養控除の見直し後の税額等を扶養親族の数に基づいて調整した基準額を料金等の決定に用いることなど、簡便かつ現実的な方法とすることが適当としている。 最後の(3)の方式については、例えば、モデル世帯で想定した16歳未満の子の数よりも子が多いケースでは負担増となることもあることから、事務負担が著しく過重になるなど(2)の方式を採用することが極めて困難となるような真にやむを得ない事情がある場合に限って採用できる方式との考えを示している。 報告書は、これらの3方式を選択肢としつつ、扶養控除の見直しの影響を受ける制度の所管府省において、もっとも適切な対応策を検討することになるとしている。 現時点において各府省は、国民健康保険税を除いた40制度で(2)の「簡便な調整方式」を軸に検討を進めている。 ![]()
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
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2010.10.18 |
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