>  今週のトピックス >  No.2126
20日から生保二重課税に係る還付手続きを開始
●  国税庁HPに還付手続きのポータルサイトを設置
  政府は去る10月15日、年金保険の二重課税問題について、所得税法施行令の一部を改正する政令を閣議決定し、20日に公布・施行した。これを受けて、国税庁は、同日から過去5年分(2005年〜2009年分)の還付手続きを開始した。また、ホームページに保険年金の還付手続きに関するポータルサイトを設け、今月中には、年金情報等を入力すれば所得金額などを自動的に作成する「年金の所得金額の計算のためのシステム」を掲載することとしている。
  ホームページに掲載されるのは、
(1)  税務署からのお知らせ(還付手続きの案内、Q&Aなどを掲載したパンフレット)
(2)  「必要な手続き判定表」(対象となる保険年金の受給者が実際に還付の対象かどうかを自身で判定するためのフローチャート)
(3)  よくある質問とその回答
(4)  更正の請求書や確定申告書等の各種様式
(5)  相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の雑所得の金額の計算書
これらは、税務署にも用意される。
●  生命保険会社等から年金情報等が通知
  今回の取扱いの変更の対象者は、相続、遺贈または個人からの贈与により取得したものとみなされる生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金の受給者となる。具体的には、
(1)  死亡保険金の年金形式での受給者
(2)  学資保険の保険契約者が死亡したことに伴う、養育年金の受給者
(3)  個人年金保険契約に基づく年金の受給者
のいずれかに該当する人で、保険契約等に係る保険料の負担者でない人だ。
  これらの保険年金の受給者のうち、年金の支払いを受ける際に所得税が源泉徴収されている人には、20日以降、生命保険会社等の保険年金取扱い各社から、還付手続きに必要となる年金情報等が個別に通知される。この通知には、「税務署からのお知らせ」が同封される。また、源泉徴収されていない人や住所変更などで通知が届かない人でも、思いあたる場合は、生命保険会社等に自ら問い合わせる必要がある。
●  還付となるかどうかは「必要な手続き判定表」で確認
  今回の所得税の還付手続きは、所得税還付のため税務署での手続きが必要な人はもとより、所得税の還付はないが住民税や国民健康保険税などが減額となるため市区町村での手続きが必要な人もおり、国税庁では、「必要な手続き判定表」で確認し、税務署窓口に期限内に提出するよう呼びかけている。
  税務署での還付手続きと必要書類は、更正の請求(確定申告をしている年分の手続き)の場合、保険年金の受給期間や受給総額などが分かる書類(生命保険会社等から保険年金に関する通知を受けた人は、その通知書)、更正の請求をする年分の確定申告書の控、印鑑、還付金の振込先の金融機関名・支店名・口座番号の分かるもの、が必要となる。更正の請求の場合は、取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内なので要注意だ。
  確定申告(確定申告をしていない年分の手続き)では、申告する内容によって必要書類は異なるが、一般的には、保険年金の受給期間や受給総額などが分かる書類(通知書等)、給与所得や公的年金等の源泉徴収票など(他の所得に関する書類)、社会保険料、生命保険料、地震(損害)保険料控除証明書などの各種控除に関する書類、印鑑、還付金の振込先の金融機関名・支店名・口座番号の分かるもの、が必要となる。
  また、最寄りの税務署に電話をし、用件番号「0(ゼロ)」を押すと、自動音声により今般の手続き専門の担当者が対応するサポート案内も実施されている。税務署窓口での相談は、待たせずに丁寧に説明するために、電話等による事前予約が必要となる。電話相談時間は、午前8時30分〜午後5時(土、日、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)を除く)。税務署の開庁時間は、午前8時30分〜午後5時(同)となっている。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2010.10.25
前のページにもどる
ページトップへ