>  今週のトピックス >  No.2133
ほとんどの課長が、プレーヤーを兼務
●  課長は、プレイングマネージャーとしての役割を期待されている
  学校法人産業能率大学(東京都世田谷区)は、従業員規模100人以上の上場企業に勤め、部下が1人以上いる「課長」を対象に、昇任前の経験や、悩み、上司の支援など現在の状況、今後のキャリアなどを尋ねた調査を実施し、このたびその結果を発表した。
  プレーヤーとしての仕事の割合を尋ねたところ、「プレーヤーの仕事がまったくない」と答えた人は、わずか1.4%にとどまった。ほとんどの課長がプレーヤーとしての活動を兼務している実態が明らかになった。
  市場での競争が激化する中で、各企業も売上が伸びない状況下においては、管理職を現場に出して、より営業面を強化するのは自然の流れである。このような経済の低迷期には、より一層その傾向は強くなっていくが、悩みを抱えている人が多いのも事実だ。部下のマネジメントをしながらも自分の数字も持っているという厳しい状況の中で、どのように各企業がメンタル面を含めてフォローしていくか、明確に対策をとる必要がある。
●  「3年前より業務量増加」54%
  名ばかり管理職という言葉が広まったが、中小企業の現場を数多く訪問していると、本当に「名ばかり課長」がたくさんいることがよくわかる。仕事内容も他の平社員と変わらずクライアントを担当し、社歴が違うくらいで給与もそれほど変わらないということも珍しくない。
  もちろん中小企業などは、対外的な面も含めて課長という役職を与えていることはよくあることだが、今回は従業員100人以上の上場企業に勤めている人を対象とした調査であることを考えると、プレーヤーとしての活動割合が半分より多い(51%以上)課長は4割に達していることは、かなり多い印象を受ける。
  職場の状況に関して3年前と比較してどのような変化があったかという質問に対しては、もっとも回答が多かったのは、「業務量が増加している」(54.2%)で、次に「成果に対するプレッシャーが強まっている」(41.1%)も4割を超えており、現場の厳しい職場の状況が垣間見える気がする。
●  自分自身のメンタルヘルス「不安がある」43.7%
  「仕事上の悩みを相談できる人がいるかどうか」を尋ねたところ、「いる」「いない」がほぼ半数ずつとなった。2人に1人は悩みを抱えても相談する相手がおらず、自分で抱え込まざるを得ない状況にあるようだ。メンタル不調の一歩手前という課長も多く、相談相手がいないという現状を見る限りでは、メンタルヘルス面からも大きな課題といえる。
  「自分自身のメンタルヘルスに不安を感じたことがあるか」を尋ねたところ、「ある」とした人が43.7%にのぼった。半数を下回っているとはいえ、昨今の課長を取り巻く状況の厳しさを反映したものといえるだろう。
  課長をはじめとする中間管理職は、業務量が多く、仕事の幅も広いので、周囲との人間関係の悩みや成果目標の達成の重圧などで悩んでいることも多い。また部下の育成が上手にできず、自分にいら立つこともよくあるようだ。メンタルヘルス対策なども十分に取り入れていない企業も多いので、この課長クラスのメンタル対策は早めに取り組むべきといえるだろう。
  参考:産業能率大学 「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」
  http://www.sanno.ac.jp/research/kachou2010.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.11.08
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