> 今週のトピックス > No.2136 |
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給与所得控除に上限設定を検討 | ||||||||||||||||||
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![]() ● 給与所得控除をめぐる議論
政府税制調査会は、平成23年度税制改正項目について、詰めの協議を行っている。その中の一つに「給与所得控除の見直し」がある。
給与所得控除は、給与収入の一定額を必要経費とみなして控除してくれるもので、給与所得者に係る「勤務費用の概算控除」と、それを超えた「他の所得との負担調整のための特別控除」という2つの要素を有するものと整理されてきている。 日本の給与所得控除については、上限がないため、高額所得者有利と指摘がされている。平成22年度税制改正大綱(妙)においては、「給与所得控除に上限がありませんが、給与所得者の必要経費が収入に応じて必ずしも増加するとは考えにくく、高所得者により有利な制度となっています。このため、給与所得控除に関しては、上限を設けるなどの見直しが必要です」と記載されている。 また、日本税理士連合会から提出された「平成23年度税制改正に関する重点要望事項」において、最初の要望事項とされているので、ご紹介したい。
![]() ● 現行の給与所得控除
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出するが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになる。
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給与収入が1,000万円の場合の給与所得控除額は、1,000万円×5%+170万円=220万円となる。2,000万円の場合は270万円、3,000万円の場合は320万円となる。どれだけ高額な給与収入であっても、収入金額×5%の部分は増額することになる。
![]() ● どのラインで線引きとなるのか?
では、給与所得控除の上限がいくらになるのか気になるところだ。現在、給与収入2,000万円超の人は年末調整の対象外となっていることを考慮し、2,000万円ラインが有力なようだ。その場合、給与所得控除の上限は270万円となる。
政府税制調査会の資料によると、給与所得者4,587万人のうち、2,000万円超の該当者は22万人、率にするとわずか0.5%である。 低迷する景気のなか、財源確保に向けてさまざまな増税議論がされている。そのほかにも、配偶者控除の廃止や、所得税率の見直しなども課題に挙がっている。国民が納得できる税制改正を期待したい。 ![]()
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
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2010.11.15 |
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