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年末調整、改正に伴う申告書の取扱いに注意
●  今年の改正点は、住宅借入金等控除のみ
  今年も、残すところあとわずかとなり、恒例の年末調整の時期が近付いてきた。会社には、税務署から年末調整の関連書類が送付され、個人の自宅には生命保険料の控除証明書などが送付されている。今回は、今年の年末調整の注意点などについて、簡単にご紹介する。
  まず、昨年と変わっている点は1点だけである。認定長期優良住宅の新築等をした場合の住宅借入金等控除について、年末調整での取扱いが今回から始まる。この制度は平成21年から始まっているが、初年度は確定申告のみの対応であるため、年末調整には無関係だった。2年目である今年から、適用2年目の方の年末調整での対応が始まる。
  この制度は、認定長期優良住宅の新築等をして、その家屋を居住の用に供した場合に、その認定長期優良住宅の新築等のための住宅借入金等の一定率を居住年以後10年間にわたって所得税から控除できる制度である。年末調整における具体的な処理については、既存の住宅借入金等控除と同様、住宅借入金の残高証明書と住宅借入金等特別控除申告書が必要になる。
●  扶養控除等(異動)申告書の改正に注意
  今年の年末調整に関して、特に注意すべきなのは、「扶養控除等(異動)申告書」の取扱いである。来年、平成23年からは扶養控除の改正が決定しており、「扶養控除等(異動)申告書」の様式が大きく変わっている。しかし、今年の年末調整では扶養控除の改正はなく、「扶養控除等(異動)申告書」も改正前の平成22年分の用紙を使用することになる。一部地域では、税務署から平成23年分の扶養控除等(異動)申告書が送付されていると思われるが、間違えないように注意していただきたい。
●  来年分からの扶養控除改正については、事前説明を
  ただし、平成23年1月分の給与計算からは、改正後の平成23年分扶養控除等(異動)申告書が必要になるため、いずれにしても、この年末調整時に従業員に配布して記入してもらうことになるだろう。平成23年分申告書では、扶養控除の改正に伴い、控除対象扶養親族の欄には、16歳以上(平成8年1月1日以前生)の扶養親族のみを記入することになる。また、特定扶養親族の年齢も19歳以上23歳未満(昭和64年1月2日〜平成5年1月1日生)に改正になっているため、注意していただきたい。なお、16歳未満の扶養親族についても、住民税の計算において必要となるため、申告書の下欄に別途記入するようになっている。
  来年分の申告書配布にあたっては、上記のような記入要領、改正内容を簡単に説明した上で、18歳未満の扶養がいる方は、1月分給料から手取り額が減る旨を事前に伝えておくのが望ましい。何も伝えないまま給料を支給してしまうと、従業員の混乱を招くことも考えられるため、慎重に対応したい。なお、扶養控除改正については、来年1月分給与から所得税が先行して改正され、住民税については、平成24年度からの実施となる。
(参考)平成22年分 年末調整がよくわかるページ(国税庁)
http://www.nta.go.jp/gensen/nencho/index.html
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2010.11.22
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