>  今週のトピックス >  No.2141
「働きがい、3年前より低くなった」が4割超
●  3年前と比べて「働きがいが高まった」は、22.5%にとどまる
  NTTデータ経営研究所は、このたび「働きがいに関する意識調査」を実施した。本調査では、昨今の厳しい市場環境の中で、どのような要因が「働きがい」に最も影響を与えるのか、この3年間ではどの程度変動があったのかを明らかにし、働きがいを高めるための方向性を探るべく、「働きがいの現状と、働きがいを高める要因/阻害する要因」「3年前と比べた働きがいの変化とその要因」「心の疲弊感の現状と、働きがいとの関係」等を中心に調査を実施した。
  調査結果によると、3年前と比べて「働きがいが低くなった」と答えた人が44.8%と「働きがいが高まった」と答えた人の22.5%を大きく上回る結果となった。
  この厳しい経営環境において、各企業はいかにして従業員の働きがいを高めていけばいいか、このような意識調査から学ぶこともたくさんあるのではないだろうか。
●  現在、働きがいを感じている人は52.4%
  「現在、働きがいを感じていますか」という質問には、「感じている」(13.0%)と「やや感じている」(39.4%)を合わせ、約5割(52.4%)が働きがいを感じていることが分かった。「あまり感じていない」(34.5%)、「感じていない」(13.1%)と答えた人を「働きがいを感じていないグループ」として、働きがいを阻害する要因を分析してみたところ、「会社での将来のキャリアイメージが描けない」(91.7%)、「会社では創造的な仕事を促す環境作りがない」(86.1%)、「会社の仕組み・制度・組織が整備されていない」(79.9%)、「会社の経営陣による折に触れたビジョンの発信がない」(78.6%)、「会社の将来性がない」(78.4%)等の「会社の要因」が上位を占めていることがわかった。
  「働きがいを感じているグループ」(上記質問にて「感じている」と「やや感じている」人)においては、75.5%が「会社に対する帰属意識を感じている」と回答している。一方で、「働きがいを感じていないグループ」において、「会社に対する帰属意識を感じている」割合は、30.3%に留まり、「働きがいを感じているグループ」の方が45.2ポイントも高く、大きな差としてあらわれた。
●  20歳代、30歳代に比べて、40歳代、50歳代の方が働きがいを感じている。
  属性別に働きがいの現状についてみてみると、性別ではほとんど差はみられないが、年齢別では大きな差がある。20歳代・30歳代は、働きがいを「感じている」「やや感じている」と回答した人の合計がそれぞれ48.1%、47.4%と5割を下回った。一方で、40歳代は53.1%、50歳代は62.1%となっており、年代が上がるほど働きがいを感じていることが読み取れる。
  調査結果によると役職も年収も高いほうが働きがいを感じている傾向があることもわかったが、従業員規模別の調査結果では、100〜499人、500〜999人の従業員規模で、働きがいを「感じている」「やや感じている」と回答した人の合計がそれぞれ46.2%、47.6%と5割を下回った。一方で、99人以下の従業員規模では56.0%、1,000人〜4,999人、5,000人以上の従業員規模では、それぞれ52.1%、57.0%となり、100人〜999人の中規模企業と比較して、働きがいを感じている。
  心の疲弊感については、「今の仕事をする中で、心の疲弊感を感じていますか」と質問したところ、「感じている」(26.6%)と「やや感じている」(43.1%)を合わせ、69.7%の人が「心の疲弊感を感じている」ことが分かった。心の疲弊感を感じている従業員がかなり多い中で、各企業はワーク・ライフ・バランスの視点からも働きがいについて今まで以上に真剣に考え、メンタルヘルス対策や社員の定着を推進するマネジメント体制の構築にももっと力を入れていく必要があるといえるだろう。
参考:株式会社NTTデータ経営研究所 「働きがいに関する意識調査」
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/101108/

(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.11.22
前のページにもどる
ページトップへ